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デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察攻撃力 防御力 機動力 運用・総評 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 声優 阿澄佳奈(ひだまりスケッチ:ゆの、WORKING!:種島ぽぷら、這いよれ!ニャル子さん:ニャル子、ささみさん@がんばらない:月読鎖々美、他) 神姫解説 アーンヴァルを3rd規格の素体ベースで新造し、武装も新たにリニューアルした最新モデル。前モデルよりクロスレンジ戦闘能力が強化され幅広い戦術が可能となっている。AI設定は素直なものとなっており、初心者オーナーでも扱いやすい神姫と言える。 名称:天使型アーンヴァルMk.2(てんしがたあーんゔぁるまーくつー) メーカー 素体:FRONT LINE 武装:FRONT LINE 型番:FL016 (FLO16とする記述もある) フィギュア発売:2010年7月15日(バトルマスターズ同梱)/2011年9月22日(フルアームズパッケージ)(バトルマスターズMk.2同梱) 主な武装:M8ライトセイバー(未使用時は両肩に装着。バトコンでは双斬撃武器) M8ダブルライトセイバー(二つのM8ライトセイバーを合体させた状態。バトコンでは双頭刃斬撃武器) GEモデルLS7レーザーソード(腕に固定する大型ソードだが、大型過ぎて取り回しに難あり。バトコンでは防具用武器) GEモデルLS9レーザーソード(上記ソードの欠点を解消した、手持ち式の大型ソード。バトコンでは両手斬撃武器) リリアーヌ(ビット。こちらは攻撃対象に直接斬撃攻撃をする。バトコンでは未実装) ココレット(ビット。こちらは攻撃対象に射撃攻撃をする。バトコンでは未実装) アルヴォPDW11(ハンドガン。バトコンでは片手ライトガン) アルヴォPDW11エクステンド(アルヴォPDW11に銃剣アタッチメントを装着した状態。バトコンでは未実装) GEモデルLC5レーザーライフル(一部パーツを変えてGEモデルLC7レーザーキャノンにできる。バトコンでは未実装) GEモデルLC7レーザーキャノン(一部パーツを変えてGEモデルLC5レーザーライフルにできる。バトコンでは防具用武器) ラファール(パーツの組み替えで生成する支援機。名前はフランス語で「疾風」を意味しており、同名のフランスの戦闘機も存在している。バトコンではアクティブスキル使用時に拝見できる) ※なお、彼女の武装アルヴォPDW11(ハンドガン)は同じフロントライン製神姫、天使コマンド型ウェルクストラの所持武装とまったく同名である。バトマスではDLC武器「アルヴォPDW11+アルヴォGB1ガンマウントブレイド」として収録されている。バトルロンドでもそうだったのでこの一致はミスなのか意図的かは不明。 通称「白子」「白子Mk.2」「しろにー」「あんばる(初代機と同じだが、偶に使われる事がある)」。 FRONT LINE社のベストセラー機種アーンヴァル系列の最新モデル。 初期モデルのアーンヴァルは、改修、追加パーツによるアップデートが限界を迎えていたため、素体を3rd規格で新造し、武装の機能を統合パッケージ化したもの。 初期モデルが戦闘スタイルによって選択していた単能武装を、個々のパーツに複数の機能を持たせることにより、一体の神姫が無理なく使えるサイズにまで小型化している。 スペック的には、これまで苦手としていたクロスレンジ戦闘能力が特に強化されマルチロール化した反面、単純な直線加速力、最高速度などは初期モデルに劣る。 また、アーマーパーツは組み合わせて支援機「ラファール」として運用可能であり、幅広い戦術を選択することが可能となっている。 本モデルはリリース後も随時仕様のアップデートを行っており、2041年時点においてはロールアウト時と比較して多彩な武装が可能となっている。 新たな追加装備としてバリエーション機であるテンペスタ(FL016/T)で試験的に採用された大型ウイング、脚部バランサーなどのパーツを同機の実績により正式導入。更に既存火器の機関部を流用した大型ソード・GEモデルLS9レーザーソード、長距離用ランチャー・GEモデルLC7レーザーキャノンを採用し、クロスレンジからロングレンジまで広い範囲において攻撃力が上昇している。 基本AI設定は初期モデルを踏襲した素直なものとなっており、初心者オーナーでも扱いやすい神姫と言える。 上の解説にあるとおり、武装神姫第1弾として発売された天使型アーンヴァルの正統後継機なのだが、フィギュアは(ストラーフMk.2と共に)ノーマル版(上記のロールアウト時)はバトマス特別版、フルアームズパッケージ版(上記の2041年時点)はバトマスMk.2特別版のおまけ(というか、大きさからしてゲームの方がおまけ)という特殊な流通形態(どちらの特別版も、コナミスタイル限定販売)を取ったため、入手手段が限られてしまったという経緯を持つ。 (リペイント版であるテンペスタが一般流通するという、これまでの「ノーマル=一般流通 リペイント=限定流通」とは逆のパターンとなったのはこのためでもある) 2012年以降、正規ルートでは新品のアーンヴァルMk.2の入手は不可能と言っても良い(棚卸し等のイベントで一瞬、限定版が復活することはあるが、大体が訓練された武装紳士達に一瞬で瞬殺されるため、神姫初心者が入手できる可能性は限りなく低いと言わざるを得ない)。 なお、3rd素体で一新した素体、さらにおそらくは武装神姫史上最多数の武装パーツにより、プレイバリューは歴代神姫の中でも屈指であると言え「さすがはフロントライン社のフラッグシップモデル」と呼べる出来になっている。 それだけに重ね々々、限定流通なのが悔やまれるところである。 余談になるが、このフルアームズ版のテンペスタが、コナミ内製のフィギュアが一般販売された武装神姫の掉尾を飾っている(2012年3月15日)が、新作ではなくリデコリカラー品であるため、その一ヶ月前(同年2月23日)に発売されたフブキ/ミズキ弐型を「最後の武装神姫」として挙げる声もある。 ただし、武装なしの素体だけであれば、2016年にアニメ版Blu-ray BOXの購入者特典として復刻生産されたもの(アン名義)が少数存在するが、細部が当時品と若干異なっており、これはこれで物議を醸した。 ちなみに、テンペスタ(フルアームズパッケージ)カラーのM8ダブルライトセイバー[R]がレイドボスバトルのロケテ報酬として、GEモデルLS9レーザーソードがレイドボスバトル(第二回)の闇神姫打倒の報酬となっている。 メインビジュアルにいるだけあって、公式媒体に於いても各ゲーム版で皆勤賞。発売時期の問題でコミック媒体各作品には登場しない(初代アーンヴァルは登場)ものの、アニメでは主役級レギュラー「アン」としてお馴染みの神姫である。 そして、当然のように2024年のパチスロ版にもメインビジュアルから登板。あちらでは通常の姿と「リミッター解除」としてテンペスタの姿とを使い分ける。 似たような能力を持つ神姫としてはバトマスのDLCに収録されたアニメ「Moon Angel」に登場する本機、個体名「かぐや」が存在。ただし、あちらはあくまでも神姫に身をやつした別の存在で、変化後の姿も「アーンヴァルMk.2黒」という、テンペスタとは別のオリジナル神姫扱いである。 看板神姫 パーツを組み替えることで別形態になる、という仕様上今作では一番のパーツ量を誇る。 ……が、テンペスタ実装後は先にFAP装備をあちらへと実装される等、ちょっと不遇気味。 ここは、オリジナル機としての挽回(!?)に期待したいところ。 全パーツ全レアリティ揃えれば、初心者卒業だ! 性格 真面目な優等生といった感じの性格。 誰にでも丁寧に接するため人当たりは良く、そこらの人間よりもずっとコミュ力が高い。オーナーに献身的な姿勢もあって人気も高い。 ただ冗談が通じなかったり洞察力がなかったり本音が直ぐ出たりと所々オーナーのカバーが必要なのは覚えておこう。 セリフ一覧 + おはようございます!マスター♪ ログイン時 通常(朝) おはようございます。来てくれたんですね!嬉しいです! おはようございます。今日も頑張りましょう! 通常(昼) こんにちは!今日の調子はいかがですか? こんにちは。ランチは終わりましたか?お昼抜きだと力が出ませんからね。 通常(夕) こんにちは。おやつはいかがですか?では、頑張りましょう! おかえりなさい!バトルの準備をしましょう! 通常(夜) おかえりなさい!今日はどんな感じで行きましょうか! こんばんは。夜遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございます。 通常(深夜) こんばんは!夜のバトルも一興ですね。楽しみましょう! こんな時間でも頑張るなんて流石です! 年始 あけましておめでとうございます!本年も頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますね! バレンタイン 思いを伝えるために、チョコを用意しました。足りなければまだまだあるので、遠慮なく言ってくださいね♪ ホワイトデー えっ?これを私に…?嬉しいです!あっ、バレンタインのお返しなんですね!じゃあ来年もさらにお返ししますね! エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきましたね。体調を崩さないよう体調管理はしっかりしましょう! 七夕 星がきれいですね。今日は愛し合う二人が出会えるロマンチックな日です! 水着 ただ今期間限定イベント開催中です。特別に水着を着ちゃうそうですよ?期待してくださいね♪ ハロウィン トリックオアトリート!あ、お菓子ないんですか。じゃあ、どんなイタズラがお好みですか? 冬季 寒くなってきましたね。メンテナンスされてますか?規則正しい生活が、健康の第一歩ですよ! クリスマス メリークリスマスです!この特別な日、もし良かったら、今日はずっと一緒にいたいです! 神姫の発売日 え?これを私にですか?ありがとうございます、マスター!私の誕生日覚えていてくれたんですね!とっても嬉しいです♪ オーナーの誕生日 誕生日おめでとうございます!一緒にお祝いできて私も幸せです♪ 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (呼び方)、どうでしょうか?この際、呼び方を変えてより適切な関係性を築くというのは? (→決定後) (呼び方)ですね。わかりました! LvUP後 MVP獲得 3連勝後 やりましたよ、(呼び方)!3連勝です!このまま勝ち続けられるように頑張りますね! 3連敗後 専用スキル解放時 親密度Lv5後 (呼び方)!今日もバトルお疲れ様でした!え、これから用事があるんですか?いってらっしゃーい! 親密度Lv10後 そういえば(呼び方)とお出かけってまだしたことないような…。今度、(プレイヤー名)を誘ってみようかな? 親密度Lv20後 (呼び方)!もしよければ今度私とお出かけしませんか?いいですか?やったー!ありがとうございます! 親密度Lv30後 (呼び方)とお出かけできるなんてうれしいな♪じゃあどこに行きましょう?行きたいところとかありますか? 親密度Lv40後 私が選んでいいんですか?じゃあ…。ゲームセンター?ショッピング…?映画…?どこがいいかな…? 親密度Lv50後 よし!決めました!(呼び方)!私、お洋服が見たいのでショッピングに行きましょう! 親密度Lv60後 せっかくのお出かけだから何を着ていこうかな?(呼び方)!この服はどうですか?かわいいですか? 親密度Lv70後 よし!この服に決めました!私に似合ってますか?褒めてもらえるとうれしいですね、えへへ。 親密度Lv80後 わー!(呼び方)もおしゃれしてとってもかっこいいです!じゃあ早速出かけましょう! 親密度Lv90後 どうですか、この服!とってもかわいいと思いませんか?え、プレゼントしてくれるんですか? ありがとうございますうれしいです! 親密度Lv100後 (呼び方)!この間のお出かけあれってデートですよね…?大好きな人とのデートとっても楽しかったな。また一緒にお出かけしましょうね♪ 親愛度Lv1~19限定 親愛度Lv20~39限定 親愛度Lv40~59限定 親愛度Lv60~79限定 親愛度Lv80以上 頭タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 胸タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 私の好きなことですか?そうですね…。私は(呼び方)と一緒にバトルをしてる瞬間が一番大好きです! (呼び方)のメンテナンスのおかげか、ここのところすごく調子がいいんです。 クリスマス限定 メリークリスマスですね(呼び方)!パーティーの準備をしてますから今日は一緒にお祝いしましょうね♪ 年始限定 旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。どうですか?年末にこっそり挨拶の練習をしてたんです♪ 武装カスタム 戦闘力Up時 戦闘力Down時 武器LvUP時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 わあ…まだまだ強くなれますね! 出撃時 入れ替え バトル開始時 がんばりますので、見ていてくださいね! 自分の力を出し切ってがんばります! → 楽しいバトルにしましょうね! バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スキル発動時 これでパワーアップです! (HP回復系) ○○してあげます! これが天翔る天使の騎馬!グランニューレ! チャーミークリアボイス いきますよ!正々 堂々 楽しいバトルにしましょうね♪ 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 やったぁ~!勝ちましたぁ!こんなに鮮やかに勝てるなんて、自分でもびっくりです! やりましたよぉ私!見ててくれましたよね! → ご褒美に頭撫でてください! 2位 2位でした。すっきりしない結果ですみません。 → 諦めませんよ!必ず成果を挙げてみせます! 3位 えっ、と…すみません、3位だなんて…次は、きっと… → この敗北の反省を活かして、必ず勝ってみせます! 4位 → コンテナ獲得後1位 そしてコンテナもゲットです! コンテナ獲得後2位以下 でも、コンテナは持って来ましたよ。プレゼントです! 親密度LvUP時 前よりもちょっとだけ、お力になれると思います! マスターレベルUP時 レイド成功時 レイド失敗時 カラフルコンダクト いつまでもあなたのそばにいます (2021/09/07~) 何なりと私に言ってくださいね 全力で勝ちます見てください いつまでもあなたのそばにいます(実装当初の歌詞と同じ) 神姫ショップお迎え時 はじめまして!お越しいただきありがとうございます! はじめまして!頑張りますので、よろしくお願いします! ゲームオーバー時 一緒に戦えて嬉しかったです!また来て下さいね! その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 え、リセットするって本気ですか? はい を押す 私、忘れたくないんです!もう一度チャンスを下さい! はい を押す(二回目) そう…ですか…本当は私…いえ、何でもありません、さようなら… リセット完了 はじめまして!お越しいただきありがとうございます! リセット取消 はあぁ、良かったぁ!もぉ!タチの悪い冗談はこれっきりにしてください! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・お兄様・ご主人様 神姫ハウス内コミュニケーション LV60~LV69 頭 LP 胸 防御 ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N 30 40 110 300 100 R 35 45 120 350 120 SR 40 50 130 400 140 UR 45 55 140 450 160 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1750 150 960 85 50 20 70 R 1050 105 70 40 90 SR 1140 125 90 60 110 UR 1230 145 110 80 130 覚えるパッシブスキル一覧 モード オブ エンゼルアーンヴァル専用パッシブ一定の確率で攻撃を無効化 防御力アップ[小]防御力を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる ジェムの出す量軽減[小]敵に攻撃された際に出すジェムの出す量を少なくする 早熟型のパターンで覚えるスキル ホーミング性能アップ[小]射撃時の弾のホーミング性能が上がる 攻撃力アップ[小] *要限界突破(L110)攻撃力を上げる ブーストアップ[中] *要限界突破(L120)ブースト時の移動スピードアップ 通常型のパターンで覚えるスキル 射程増加[小]攻撃距離が伸びる ブースト最大値アップ[小] *要限界突破(L110)ブーストゲージの最大値を上げる 攻撃力アップ[中] *要限界突破(L120)攻撃力を上げる 晩成型のパターンで覚えるスキル 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる スピードアップ[小] *要限界突破(L110)移動する際のスピードアップ 射程増加[中] *要限界突破(L120)攻撃距離が伸びる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +30% 片手斬撃武器・両手斬撃武器・双斬撃武器・双頭刃斬撃武器・片手ライトガン・防具用武器・肩持ちヘビーガン 不得意武器 -30% 格闘打撃武器・両手打撃武器 神姫考察 攻撃力 神姫自体のATK値は低め。覚えるパッシブスキルも攻撃力に直接関わるのはクリティカル発生アップのみ。防具でカバーしないと火力負けは必須。 近接武器は頭一つ抜けた火力の双頭刃斬撃武器で火力の低さをカバーするか豊富なアクティブスキルを選べる両手斬撃武器のどちらかになる。 遠距離武器は片手ライトガン頼りになる。防具用武器でも戦えなくは無いが、射程は短いわ癖が強いわで試合に付いて行けない。 防御力 必ず覚える防御力アップに晩成型のみ覚える体力最大値アップ。神姫自体のDFE値や周りと比較すると物足りないか。 専用パッシブスキルは発動すれば強力なスキルだが低確立。 その専用パッシブスキルに防御面で大きく依存しているだけなので、総合的にな防御力は平均的よりやや高めといったところか。 専用パッシブスキルの発動率に自信があるならATK値重視のアセンも面白いかもしれない。 機動力 ごく平凡だが、全体の中では遅い分類に属する。 運用・総評 武装神姫というコンテンツの顔だけあって、なんでもできる幅広い対応力(得意武装の数が多い)のが売り。 特に数多い自身の武装がすべて得意武器に設定されているのが大きい。同一武装限定なんて縛りでも問題なく対応できるし、極論この神姫だけ育てても完結できる。 打撃系武器は一緒に開発されてないためか苦手武器扱いだが、どちらも扱いに癖があるので装備しなくても問題ないだろう。 専用スキルの発動率は約20%。攻撃自体無かったことにするのではなく、ダメージ表記のない0ダメージにする。0ダメージの攻撃を受けているので、ガード成功時にも発動し、その分ブーストも消費する。 発動してしまえばどんな攻撃も0ダメージにする強力なスキルだが、あくまで確立。発動すればラッキー程度の認識で。 同じ無効化のヴァッフェドルフィンとは得意武器がほぼ全て被ってないうえに発動条件はこちらのが緩い。自身の得意武器によってはあちらからの乗り換えを検討しよう。 機動面では優れた特徴が何もないので、近寄るのに苦労する。個体値ブースト単に機動力を上げるアクティブスキルか長射程でカバーしないと厳しい立ち回りを強いられる。 近接武器メインならGEモデルLS9レーザーソードG、遠距離武器メインならパウダースプレイヤーがオススメ。 防御力は最高峰なので、NRURのような最後のURで逃げ切る戦略にはうってつけ。 神姫攻略法 唯一の特徴である専用スキルも完全受け身のスキルのため、基本的に無視で良い。 ただ無視しすぎていつの間にか取り返しのつかない量のジェムを獲得していたなんて時は、専用スキルも合わさってかなり撃破に時間がかかってしまう。 相手もURで逃げ切る戦略が多いと思うので、基本の対策である早めにURを引きずり出すか完全放置でURを出させないか、随時様子を見て柔軟に立ち回ろう。 そうそうないとは思うが、渾身の単発超火力を無効化されたなんてこともなくはないので、できるなら手数の多い武器で挑みたい。 お迎え方 稼動開始(2020/12/24~)から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:専用パッシブスキルの説明文変更 日時:2021.4.27 内容:得意武器に「双頭刃斬撃武器」の追加 苦手武器から「片手打撃武器」の削除 バトルメンバーにいる場合、バトル中のBGMが変更されるように。なお一番手に配列しないとBGMは変更されない。 日時:2023.8.7 内容:DEF、DEX、ジェム防御力、クリティカル、ダッシュスピード、ジャンプスピード、ブーストゲージ回復量を上方修正 ※実は7月のアップデート(どの日かは不明)で更新されていたのだが、発表はこの時となった。 コメント 作品の顔ともいえる神姫ではあるが昨今エーデルワイスに枠取られがち…性能の差というか異常な機動力の差なんだけど -- 名無しさん (2021-01-05 22 41 29) ヘッドセンサーユニコーン[A]全ステータスアップ [B][C]コンボの最終ダメージ増加 -- 名無しさん (2021-01-06 21 13 08) スキルが溜まりやすい? -- 名無しさん (2021-08-11 22 14 00) 晩成型で1防御力アップ2体力最大値アップ3攻撃スピードアップ4ジェムの出す量軽減5クリティカル発生アップ -- 名無しさん (2021-08-22 02 13 59) 名前 コメント
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第三話 「バトルフィールド・砂漠地帯。おーなーノミナサマハ神姫ヲすたんばいシテクダサイ」 ジャッジAIが無機質な声で会場の準備が整ったことを伝える。 神姫同士の戦い、すなわちバトルロンドは大きく分けてバーチャルバトルとリアルバトルの二種類がある。 バーチャルバトルは文字通り「仮想現実空間でのバトル」で、常に最高の状態で戦えるのが特徴だ。 何より神姫が壊れることもない。ただし、バトル中に味わった恐怖をトラウマとしてそのまま引きずることもあるので一概に安全とは言えないが、これの普及も武装神姫がここまで流行った理由の一つである。 逆にリアルバトルではふつうに実弾が飛び交い、神姫も実際に損傷する。 しかし、こっちはこっちでバーチャルにはないスリルが楽しめる。 さらに、バトルの公正さを保つために個々の神姫にはランクというものが与えられている。 これは一定のポイントをためるとランクが上がるというモノで、勝てば成績に応じてポイントが与えられ、負ければその分相手に奪われる。さらに、格上の相手に勝てばたくさんポイントがもらえ、逆に格下に負けてしまった場合、最悪降格もあり得る。早い話が弱肉強食だ。 全部で五段階あり、上からプラチナ>ゴールド>シルバー>カッパー>ブロンズの順に低くなっていき、上に行けば行くほどリアルバトルが数を増してくる。 ちなみに優一のアカツキはシルバーランクの中堅どころをキープしている。 そしてスペックが異常な違法パーツや反則行為は厳しく規制するレギュレーションもそれに一役買っている。 しかし、中にはルールギリギリのヒールファイターもいるものである。 「アカツキ、危なくなったらギブアップもして良いぞ」 「「最後まで諦めるな」って教えたのはマスターでしょう?絶対勝ってきますよ」 「そう来なくっちゃな。それでこそ俺の神姫だ」 クレイドルのハッチが閉じられ、ロードが始まる。その間に優一は可能な限り情報を集めにかかった。 「障害物と呼べるのは岩場とサボテンくらい・・・、サバが地面に刺さっているのはギャグとして受け取っておこう。 とれるレンジは自ずと離れざるを得ないからアカツキにとっては有利だな」 そうこうしているうちに互いの神姫がバーチャル空間に転送されてきた。 アカツキはアーンヴァルのデフォルトである白い翼のようなフライトユニット・リアウィングAAU7を背中に、 左腕にはガードシールド、頭にはヘッドセンサー・アネーロ改を装備している。 これは天使コマンド型・ウェルクストラのデータをフィートバックした最新鋭モデルだ。 いや、アカツキ自身もアーンヴァルの上位機種である「アーンヴァルトランシェ2」と呼ばれるモデルだ。 当然性能も並のアーンヴァルのより少しは上である。 武装は右手に標準的なアサルトライフルを持ち、M4ライトセーバーを両腰のホルスターに収めている。 予備の武装であるLC3レーザーライフルと2種類のカロッテ、蓬莱壱式を改造したロケットランチャーとMVランスは まとめてサイドボードに格納されている。 対するジャンヌは漆黒の鎧に身を包んでいるが、装備している武器は火器ばかりだ。 あれでは完全にサイフォスの特徴を完全に殺してしまっている。 自分ならバランスのとれたヴァッフェバニーのバックパックにランスと二本の剣に加えて補助でサブマシンガンか、ハンドガンを1,2丁持たせる。 「バトルロンド、セットアップ。レディ・・・ゴー!!」 「さあジャンヌ、あの天使型の子を血祭りにあげておやり!!」 「イエス・マスター!」 試合開始のブザーが鳴ったと同時にジャンヌが全身の砲を一斉にぶっ放してきた。 「あの神姫、スポーツマンシップってモノが無いんですか?」 「神姫に罪は無い。それと避けないと木っ端微塵だぞ!」 「わかってますよもう!」 アカツキはアウターバーナーを噴かして急上昇し、辛うじて回避する。こうなると戦術は一つ。 「アカツキ、回避に専念しろ。レーザーライフルを使う」 「いきなりそれですか。」 「相手のウィークポイントに一撃当てたら接近戦だ。とはいえ、相手はサイフォスだから簡単には行かないかな」 「簡単に進むことほどショボイことはありませんて。」 「よく言った!」 優一はサイドボードの武装とメインボードの武装の入れ替えの準備を始めた。アカツキの右手にあったアサルトライフルがポリゴンの塊となって消滅し、代わりにアカツキの身長ほどはあろうかというLC3レーザーライフルが転送された。 「そんなモノ、出してきたところでムダですわ!ジャンヌ!!」 「イエス・マスター!」 ジャンヌは再び全身の火器を撃ってくる。今度は一撃必殺を狙った収束ではなく、けん制目的の拡散発射だ。 しかし、アカツキはこれらを紙一重でかわして行く。 「エネルギー充電完了、システムオールグリーン、ターゲットロックオン!いっけえええぇぇぇぇぇ!!」 腰だめに構えたレーザーライフルの砲口からプラズマ球が発生し、一拍おいて閃光が迸る。 それは真っ直ぐジャンヌへと向かい、彼女の体を包み込んでゆく。 そして照射が終わった頃にはジャンヌがいた場所は巨大なクレーターができあがっていた。 「やった?撃った?勝った?」 「お前はシーザーか。・・・?!いかん!!まだだ!!」 「え・・・きゃあ!!」 勝利を確信しかけたその次の瞬間、グレネードの一撃がリアウィングに着弾し、根元から折れてしまった。 その結果、揚力を失ったアカツキは落下するも、脚部のブースターを使って辛うじて着陸する。 「装備を・・・。マスターから授かった私の装備を・・・、許しませんわ!!」 「ぐふぅ!!」 ジャンヌのボディーブローが脇腹にクリーンヒットし、思わず膝を着くアカツキ。 そこへさらに彼女の顔に蹴りが入り、地面へと倒れ込んでしまう。 「誇り高き鶴畑の神姫たるこの私の装備だけでなく、あまつさえ五体の一つを奪うなど、 身の程知らずも甚だしい!その行為、万死に値しますわ!!」 そう言うとジャンヌはさっきのお返しだと言わんばかりにアカツキを足蹴にし始めた。 火器に誘爆したのか、確かに装甲や火器ははほとんど残っておらず、左前腕が無くなっている。 「そうよジャンヌ、この鶴畑和美に逆らった愚か者はどうなるか、観客に教えて差し上げなさい!」 「イエス・マスター!!」 「うっ、あぐっ、くはぁ!」 和美の指示を受けたジャンヌはアカツキをより一層痛めつける。 しかし、残された力を振り絞ってアカツキはジャンヌの脚をつかんだ。 「まだ抵抗する力が残っていましたの?ジャンヌ、トドメを」 「イエス・マスター!」 「まだ、終わっちゃいない!!」 一本残されたナイフをのど元に突き立てようとしたジャンヌめがけてバイザーに隠されたバルカン砲を放った。 人間で言えば豆鉄砲に当たるので、ダメージには至らないが、怯ませるのには十分だった。 「マスター、今です!MVランスを!!」 「いよっしゃ、受け取れ!!」 アカツキはリアウィングをパージし、転送されてきたMVランスを受け取ると、 少し距離を空けてからジャンヌめがけて突撃した。 「いっけえええええぇぇぇぇ!!」 「悪あがきですわね。ジャンヌ!!」 「イエス・マスター!!!」 ジャンヌも転送されてきたトライデントを手に取ると、アカツキに正面からぶつかっていった。 お互いの位置が入れ替わった。 アカツキは右腕を喪失したが、かわりにジャンヌの胸には深々とMVランスが突き刺さっていた。 「ばとるおーばー。Winner、アカツキ」 「マスター!私、勝ちましたよ!!」 「よくやったなぁアカツキ!!さすがだ!!」 クレイドルから出てきたアカツキは感極まって優一に飛びついた。 ところが、反対側から怒声が聞こえてきた。 「全く!!後一歩だったと言うのに、なんたる失態ですの!!ジャンヌ、それとそこのあなた!!今日の所は許してあげますが、次はこうも行きませんわよ!!!」 そう言うと和美は床を打ち鳴らさんばかりにがに股でその場を後にした。 「何ででしょう、一種の哀れみの感情が・・・」 「まあ、良い薬になっただろう。勝負の世界は勝ち続けるよりもある程度は負けを重ねた方が経験になるからな。それはそうとお疲れさんアカツキ。ちょうど昼時だし、うちに帰って焼きそばでも食うか」 「はい、それじゃあ具は豚コマとニンジンにタマネギ、味付けはソースも良いですけど、偶には酢醤油も悪くないですね」 「酢醤油とは・・・、意外と通だな」 「そんなこと無いですよもう!」 二人の絆は家族とも友人とも、恋人のそれともまた違ったモノがあった。 ~The END~ とっぷに戻る
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ハウリングソウル 第一話 『廃墟にて』 今はもう誰もいない。かつてはそれなりに賑わっていたであろう街中を、一つの影が疾走していた。影は両の手にカロッテTMP・・・通称サブマシンガンを握っている。 影が向かう先にはマスクをつけた特殊部隊の隊員のような人影・・・・一体のMMSが立っていた。 そのMMS・・・兎型MMSヴァッフェバニーは走り寄る影に向かって両手で構えたSTR6ミニガンを連射する。 その弾丸の嵐を影は僅かに身を捻るだけで回避した。 「(・・・・・・・・馬鹿な)」 兎型MMS、ヴァッフェバニーは心の中で舌打ちをした。 「(私が今まで戦ってきた犬型はここまでのスピードを持った者はいなかった。一体奴は何者なんだ!?)」 ヴァッフェバニーはミニガンを的確な狙いと速度で連射する。今は何よりも、奴を近づかせないことが先決だ。 事実、先程から疾走する影・・・・犬型MMSハウリンは彼女に近づくことが出来なかった。付かず離れずの距離を保ちながら右へ左へとこちらを翻弄している。 「(奴の狙いは・・・・・こちらの消耗か?)」 だとすると敵の犬型は彼女を見くびっている。彼女はSTR6ミニガンを二挺装備している。事実上、弾が切れる心配は無い。その前にタイムアップでドローとなるだろう。 彼女は突撃せず後方支援を目的としていたのだ。その分装備も重装備である。 しかしつい先程、仲間の反応が消えた。恐らく目の前の犬型にやられたのだろう。 彼女達はタッグで勝負を始めたはずだった。にも拘らずこちらの損害は大きくあちらは事実上無傷である。 「・・・・・面白いじゃないか」 マスクに隠された顔で不適に笑う。ならこいつを倒せば仲間の敵も討てると言うことだ。だが今へたに動けばこちらがやられる。二人揃ってやられるよりも、まだ引き分けのほうが戦略的にましだろう。だが向こうが何かミスをしたならば一気に畳み掛ける。取りえず今はこの拮抗状態を崩さずに制限時間まで持ち込めば ――――――――――― と、動き回っていた犬型が突如として停止した。 彼女はその隙を逃さずにミニガンの掃射を食らわせる。 銃口から盛大なマズルフラッシュが瞬き一瞬、その場にいた全員の視界を遮った。 そしてマズルフラッシュが納まった後・・・・ヴァッフェバニーが掃射を止めた後には、ボロボロのテンガロンハットだけが残されていた。 「・・・・・中身はどこに行った!?」 右、左と辺りを見渡してみるもあの犬型はどこにもいない。まるで消えてしまったかのように。 「(消えた?・・・・そんなはずは)」 困惑する彼女の頭上が突如として曇った。 太陽に雲がかかったのだろうか? 否、このゴーストタウンは仮初の町。空はコンピューター制御の虚像である。確かに雲も太陽も存在するがそれはただあるだけで動いたりなどはしないはずだ。 ならば一体・・・・・・・? 彼女は上を見た。 そして廃墟となったビルの屋上に、巨大なガトリングを四問備えた巨体を見つけた。 悪魔型MMSストラーフ。 確か犬型とタッグを組んでいた神姫である。悪魔型の背面ユニット、チーグルと呼ばれる機械式副腕に取り付けられたガトリングは全てがこちらを狙っていた。 彼女は完全に失念していた。こっちがタッグである以上、向こうもタッグであることを。 「ハウ・・・・・・時間稼ぎ、ありがと」 屋上の悪魔型がそう呟く。 「結構辛かったよノワール。あとでたっぷり休ませて貰うからね?」 いつの間にそこにいたのか、フィールドに配置されているゴミ箱のオブジェの傍にハウと呼ばれた犬型MMSが立っていた。 ・・・・ハウリンだからハウなのだろうか? 「くくっ・・・・はははははっ」 ヴァッフェバニーは思わず吹き出していた。 今の状況とそこに追い込まれた自分。そしてこの二人の手腕に。 「兎型の人、降参しますか?」 ハウと呼ばれた犬型がこちらにTMPを向けている。そして屋上からはノワールと呼ばれた悪魔型のガトリングが自分を狙っていた。 「ハウと言ったな? 私が一ついいことを教えてやる。・・・・諦めないことが勝利への近道だ!!」 ヴァッフェバニーはミニガンを放り出し腰のカロッテP12に手をかける。この距離なら彼女は外さない。手をかける速度がもう少し速ければ。 ハウとノワールの銃は彼女はミニガンを放り出した瞬間に火を吹いていた。 TMPはP12を弾き飛ばし、ガトリングはヴァッフェバニーの体に命中していた。 ヴァッフェバニーは声も無く倒れこむ。それと同時に試合終了を告げるブザーが鳴った。 「マスター! 試合終わりましたよ!」 試合を終えたハウとノワールが神姫センターに設置された専用筐体から出て来た。私はそれを見て思わず笑ってしまう。 何と言ったってハウの後ろにノワールが隠れるように出て来ているからだ。妙に微笑ましく思った私は彼女達に笑いかけてこういった。 「二人ともお疲れ様だ。今日は時間も遅いしもう帰ろう」 「そうですね。ノワールも疲れてる・・・ノワール?」 「・・・・・・・マイスター」 と、ハウの後ろに隠れていたノワールが一歩進み出る。 「もっと・・・・遊びたい。・・・・今度は、神姫バトルじゃなくて・・・・普通のゲーム・・・」 あまり表情を変えずに、でも控えめにノワールは言った。 ああもう。 なんでこの子等はこんなに可愛いんだろう。私が結婚適齢期を逃したらきっとこの子達のせいだ。 「しょうがないな・・・・ハウもそれでいいかい?」 「マスターがそれでいいなら。お姉ちゃんの意見には逆らえません」 そういってハウは軽く舌を出す。畜生、可愛いよ。 私は二人を手のひらの上に乗せ、そのまま胸ポケットに入ってもらった。 入るときに二人が少し窮屈そうにしていたのはもうしょうがないだろう。だって私だって女だし。 「それじゃあ行こうか。二人は何がしたい?」 「アレがいいです! レーシング!」 「・・・・・競馬」 「「はい!?」」 2036年、Multi Movable System------MMSと呼ばれる全高15cmのフィギュアロボが当たり前に存在する世界。 中でも一般的なのが『神姫』と呼ばれる女性型MMSである。 人々は彼女達に思い思いの武装を施し、互いの神姫を戦わせていた。 様々な武装を付け、戦場へと赴く彼女達を、人は『武装神姫』と呼んだ。 NEXT
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ウサギのナミダ ACT 0-6 ■ 「着けてみた感じは、どうだ?」 意外と悪くない。 自分の脚を全く別のモノに交換したにも関わらず、思ったほど違和感は感じない。 「いい……と思います」 むしろ、昨日まで練習で履いていた、ローラーブレードの方が違和感があった。 脚にはめた、その先の車輪は自分の一部ではない感じだった。 でも、新たにマスターが用意してくれた、この脚部パーツは、つま先から車輪まで、文字通り身体の一部であるように思える。 マスターが作ってくれた、オリジナルの脚部パーツを、今日初めて装着した。 わたしの脚は、太ももの接続部を境に、ごつい機械の脚に変貌していた。 足首の部分には、前後に車輪がついている。 後輪の方が大きくて、後ろに張り出していた。 足首の中には超電動モーターが入っており、車輪による高速移動が可能なはずだ。 これが、わたしが与えられた武装。 マスターが時間をかけて、パーツを集め、組み上げた、オリジナルの装備。 わたしはこの十日ほど、ローラーブレードの特訓に明け暮れた。 装備が完成するまでに、「滑走する」動作をメモリにたたき込んだ。 主な動作は、アイススケートを中心にしたメニューだったが、それもフィギュアスケートやスピードスケート、アイスホッケーに至るまで多彩なメニューが用意された。 それだけではない。スキー競技もアルペンからフリースタイル、ジャンプにクロスカントリー、エアリアルまで、動作を真似た。 もちろん、ローラーブレードもエックスゲームを参考に、メニューが用意された。 これらはすべて、今日渡されたこの装備を使いこなすためのものだ。 「でも……脚に車輪をつけた装備もすでにあるのでは?」 「確かにな。あるにはあるが、種類が少ない。俺が望む性能を再現するものは、俺の知る限りない」 「なぜ、ですか?」 「自由度の問題、だろう」 「自由度……?」 「装備、そして戦闘行動の自由度だ」 マスターは、わたしのこうした疑問に、とても丁寧に答えてくれる。 わたしがマスターの意図を理解してバトルできるように、との配慮だそうだ。 マスターは相変わらず無表情だったけれど、たくさんの言葉をかけてもらえることが、わたしは嬉しかった。 「エックスゲームのような機動を実現するには、装備が制限される。重い武器はもちろん、動きを阻害するようなかさばる装備は身につけられない。自然、小火器や格闘武器に限られる。 重装備にすれば、火力は得られるが、独特の機動は得ることができない。 それに、結局は地上戦用装備にならざるを得ない。 武装神姫は装備を付け換えるだけで、簡単に空を飛ぶことができる。そっちの方が、戦闘機動の自由度は高い。 ローラーブレード型にこだわらなくたって、強力な脚部パーツはたくさんある。そっちの方が、装備と機動力を両立させるには適している。 だから、足首に車輪を装備している神姫はすべからく、移動するために装備しているのであって、戦闘機動をするためじゃない」 つまり、わたしの脚部パーツを使うには、重装備では意味がない、他の装備を考えた方が攻撃力と機動力のバランスがいい、ということだ。 「それなら、なんで……」 わたしは、沸き上がった疑問を、素直に口にしてみた。 「なんで、マスターは、ローラーブレード型の装備を作ったんですか?」 理由の一つは、わかる。 それは誰も使わない装備であり、誰もしない戦い方だからだ。 誰もしない戦いをすることが、マスターの夢だからだ。 けれど、マスターから語られた理由は、意外なものだった。 「……美しいからだ」 「……え?」 「滑走する競技というのは、美しさを競う競技でもある。 フィギュアスケートはその代表だ。 スキーでも、モーグルはスピードだけでなく、滑走時の姿勢や、エアの技、着地の出来を採点される。 スキージャンプも、飛行姿勢や着地姿勢を採点されるんだ。 あらゆるエックスゲームは観客を魅了することに主眼が置かれている。 『滑走』という行動をバトルに取り入れることで、より美しく、より魅せる戦いができるんじゃないか、と考えている。 ……そんなところだな」 前にマスターは言っていた。 『自分たちだけの戦い方で、ギャラリーを魅了できれば最高だ』と。 わたしに与えられたこの脚部パーツは、その夢に直結している。 それにしても、マスターが『美しいから』という理由でこの装備を作ったことが、なんとなくおかしかった。 でも、笑うのは失礼なので、マスターに見えないように、顔を伏せてこっそりと微笑んだ。 □ ティアに答えた『美しいから』という理由は、我ながらちょっと気恥ずかしかった。 だが本心だ。 圧倒的な火力で殲滅するよりも、限られた手段を駆使して勝利する方が、心に残る。 それが美しい動作ならばなおさらだ。 「さあ、テストを始めよう」 俺はティアに言った。 この十日間、ティアにはローラーブレードの特訓を施した。 いまでは、エックスゲームのトッププレイヤーも顔負けの腕前だ。 それだけ習熟が早いのには理由がある。 神姫は様々な動作を記録し、それを忠実に再現することができる。 それをさらに応用して、条件を少しづつ変えて、動作をすることも可能だ。 事前にシミュレーションを行っておけば、さらに精度は高くなる。 そうやって、成功の条件を積み重ねていけば、人間には修得が難しい技も、神姫は難なく修得できるのだ。 もちろん、武装神姫素体の運動性能の高さもそれを手伝っている。 ティアは緊張の面持ちだった。 スピードスケートの選手のようにスタート姿勢を取る。 「行きます!」 高い声と共に、一気に走り出した。 場所は俺の部屋の中。 片づけた部屋の最長距離を走ろうとする。 ティアの行く手には障害物はない。 超電動モーターがオンになり、ホイールが回転し始める。 乾いたホイール音が響いた。 「わっ、わわわっ!」 素っ頓狂なティアの声。 両足首が身体よりも先に出ようとしている。 体のバランスが一気に崩れた。 ティアは尻餅をつき、床の上にすっころんだ。 「いったぁ……」 ……やっぱりそうなったか。 ティアは涙目になりながら、小さなお尻をさすっている。 ティアはローラーブレードを操るように走り出したのだろうが、車輪が自分で回転するので、勝手が違ったのだ。 自転車とバイクでは、乗り方が違うのと同じだ。 だが、使いこなせれば、より速く、自由に滑走することが出来るはずだ。 ■ 訓練を始めてから三時間経った。 そのころには、ローラーブレードと同じように、このレッグパーツを操れるようになっていた。 レッグパーツに慣れてみれば、こちらの方ができることの幅が広いことが実感できる。 ローラーブレードと違うのは、わたしの意志で、ホイールの回転を自在に操作できること。 回転数を上げるのも下げるのも、逆回転すらさせるのも自在だ。 武装を直接コントロールできる神姫ならではの能力だった。 これによって、停止している状態からその場ですぐにスピンしたり、直立したまま姿勢を変えずに移動したりもできる。 ホイールにモーターがついているから、スピードもさらに出すことができる。 もしかすると、いままで思いもしなかった動きができるかも知れない。 その週末、土曜日の朝。 いつものように、わたしはマスターに連れられて、近所の、あの広い公園まで、散歩に来た。 いつもと違うのは、わたしがあの新しいレッグパーツを装着していること。 なぜ、レッグパーツを装着して連れ出されたんだろう? わたしはマスターの言うことに従っただけだけれど、その理由はなんとなく聞きそびれてしまっていた。 今日も外は快晴。 やわらかな風が、わたしの頬をなでて、吹き抜けていく。 気持ちがいい。 わたしは、マスターのシャツの胸ポケットで、マスターが刻む歩みのリズムを感じていた。 マスターは公園に着くと、広場のすみにあるベンチに腰掛けた。 公園の広場は、芝生が敷き詰めてある広い場所。芝生はよく手入れされており、緑がきれいだった。 その周りには遊歩道が整備されている。 コンクリートの遊歩道は、普通の道路よりでこぼこが少なくて、滑らかな感じがする。 マスターは、胸ポケットに手の甲をかざし、わたしに出てくるように促した。 何が始まるというのだろう? 胸ポケットから出たわたしを、マスターは遊歩道に降ろした。 そして、マスターの口から出た言葉は、意外なものだった。 「思い切り、走ってこい」 「……え?」 「お前が好きなように、走りたいだけ、走ってこい」 わたしが、好きなように……? マスターの意図が理解できないでいる。 「あの……わたしが自由に走って、何の意味が……?」 「走ってみれば、わかる」 わたしは改めて、自分が立っている遊歩道のまわりを見渡した。 今、わたしの目の前には、広大な地平が広がっていた。 ここなら、壁に阻まれることもなく、どこまでも走ることができる。 わたしは、もう一度マスターを見上げた。 マスターはわたしに視線を合わせる。 早く行け、と促している。 何か不安だった。 マスターの具体的な指示なしに、自由に滑走するということが、初めての体験だったから。 それでも、わたしは遊歩道の先を見据え、スタートの構えを取る。 「行きます……!」 頭の中でカウント。 三、二、一、スタート。 わたしはまず、全力で走ってみることにした。 ここなら壁に阻まれる心配もなく、どこまでも加速できる。 スピードスケートの選手のように、前かがみになって両腕を振り、左右の脚で大きく蹴り出す。 蹴り出すときに、重心を乗せた方の脚のホイールを加速させる。 今まで感じたことのない、爆発的な加速。 疾走する。 流れてゆく。 遊歩道に沿って並んでいる木々が、形を失って、わたしの後方へと流れてゆく。 風が。 風が左右にわかれ、わたしの横を吹き抜ける。 ああ……わたしは…… いま、風になっているんだ。 ものすごい解放感がわたしを包み込む。 ただ走るという行為が、こんなにも自由なものだったなんて! わたしは、夢中になって走り出した。 一歩ごと、わたしは身も心も風に溶けてゆくようだった。 気持ちの赴くままにジャンプ。 つむじ風になったように、四回転。 あっさり決まって、着地。 驚くほど簡単だった。 ローラーブレードの時は、相当練習して、やっとできるようになったというのに。 マスターのくれたレッグパーツは、わたしの想像以上のポテンシャルを秘めている。 それを十二分に引き出すことができたら……あらゆる滑走競技の技が可能なはず……それ以上のことだって。 ならば、試してみよう。 いまのわたしに可能な最高のトリックを。 もうすぐ、公園の遊歩道を一周する。 試すのはマスターの目の前。 わたしは、さらに加速する。 □ ティアが公園を一回りしてきた。 あいつはどんな風に感じたろうか。 なによりも、滑走することが楽しいと、気持ちがいいと、感じてくれれば、それでいい。 ティアをここで走らせることは、それが目的だった。 深い意味はない。 だが、俺が始めてスキーをしたときのような嬉しさを感じて欲しかったのだ。 滑走するということは、日常から解き放たれ、自由になる瞬間なのだ、と。 ティアが俺のいる方へと疾走してくる。 スピードを落とす気配がまったくない。 ……おいおい、何をするつもりだ? 俺の目前、ティアは身体をひねると、スピードはそのままに、片足で踏み切った。 ジャンプ。 高い。 フィギュアスケートの選手のように、両腕を身体に寄せ、回転する。 だが、その回転は複雑で、身体をロールさせながら宙返りもしている。 踏み切りはフィギュアスケートだったが、空中の回転はフリースタイルスキーのエアリアルだ。 木の葉のように宙を舞う。 人間ではありえない長い滞空時間の後、ティアはきれいに着地を決めた。 「あはっ!」 ティアの、短い笑い声が、聞こえた。 あいつ、笑ったのか。 そうか。 知らず、俺の口元からも笑みがこぼれる。 ティアが俺の予想を超える、超絶の技を決めたことも嬉しかった。 でも、それ以上に、ティアが笑えたことが嬉しい。 今まで頑なだった彼女の心が、確かに喜びを感じている証拠だったから。 ■ わたしは、公園をさらに半周して折り返し、マスターの元に戻ってきた。 もう、このレッグパーツの動作は掴んでいた。 ランドスピナーを加速させ、わたしはまた風に乗る。 マスターが待つ公園のベンチの手前でジャンプ! 月面宙返りを決めて、ベンチの上に着地した。 膝を着いていたわたしの頭上から、拍手の音が降り注いだ。 マスター。 マスターが、わたしに拍手をしてくれている……。 見上げると、マスターはいままで見たこともないような笑顔で、わたしを迎えてくれていた。 「想像以上だ。素晴らしかった」 その言葉が、どんなに誇らしかっただろう! わたしは嬉しくて、とても嬉しくて、マスターに気持ちを伝えたいと思う。 「あ、あの……すごく、すごく、楽しかったんです! 走ることが、楽しくて、気持ちよくて、自由で、嬉しくて……!」 自分の口から転がり出た言葉が、あまりにもとりとめなくて、いま興奮していることを自覚する。 マスターは、そんなわたしの拙い言葉を聞いてくれた。 いつものまっすぐな視線でわたしを見ながら。 そして、微笑みを浮かべながら、こうまとめた。 「そのレッグパーツ、気に入ったか?」 「はいっ!」 それはよかった、とマスターはまた笑ってくれた。 次へ> トップページに戻る
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「……なんか、改めて向き合うと緊張するもんだな」 「そうですわね」 家に着き、俺とヒルダは自室で向かい合っていた。何故か正座で。 ヒルダは居間に置かれている座卓の上に座りながらこちらを見上げていた。 バイザー越しなので視線は感じ取れないが……ちょっとおびえているようにも見える。……無理もないか。自身の中の別人格を意識的に呼ぼうとしているんだから。 しかしまあ、あれだ。こうやってにらめっこを続けていても埒が明かない。 「……ヒルダ、頼む」 「はい、ですわ」 ヒルダがルナピエナガレットに手をかけ、ゆっくりと外す。 こちらを見据えた蒼い目は瞬きをした瞬間に紫水晶へとその色を変えた。 「……あら。ワタクシを貴方自ら呼びだすなんて、めずらしいですわね」 あきらかに居丈高な口調。そして高圧的な態度。 間違いなく、「裏」のヒルダだ。 「さて、一体何の用ですの? ワタクシを呼び出したのですから、理由があっての事ですわよね? 筐体のなかでないのならリアルファイトですの?」 「別に戦うために呼び出したわけじゃないさ。茶飲み話ぐらい付き合ってくれ。お前は俺のパートナーなんだからな」 ヒルダの物怖じしない態度にこちらも緊張が和らいだ。 正座が馬鹿らしくなり、崩しながら答える。 彼女は一瞬ぽかんとした。 「どういう風の吹きまわしですの?」 「……と言うと」 「戦いもないのにワタクシを呼び出すなんて、貴方らしくありませんわ」 「俺らしくないって……」 そもそも俺が望んでこいつにバトルに出てもらったことは一度もないのだが。まあそれはいい。 「俺がお前の存在を認知してからまあ半月ぐらいたつわけだが、表のヒルダと会話をしたことはあっても、お前とは滅多に、いや、全く話す機会なんてなかったからな。バトル中のお前は俺の話を聞かないし」 「ワタクシを扱うに足らぬマスターの言うことなど聞く耳持ちませんわ」 お前はあれか。高レベルか。ジムバッジが足らんのか。八つ目を手に入れないと言うことを聞いてくれないのか。 「それに。茶飲み話と言っておきながらお茶がないのはいかがなものですの?」 「……それもそうだな。淹れるか」 「ワタクシは紅茶がいいですわ」 「そんなハイカラなもん家にはねーよ」 緑茶で我慢しろ。 ◆◇◆ 「意外と美味しいですわね。粗茶ですけど」 「やかましいわ」 スーパーで買った一山いくらの茶葉でもうまく淹れればそこそこうまいものである。 一人暮らしを始めて約半年、慣れれば美味い茶を淹れることなど造作もない。 ヒルダは彼女用にと購入したプラスチックの湯呑を使って茶を啜る。 「……そう言えば神姫は飲み食いできるって愛に聞いてなんの疑いも持ってなかったが、いざ目の当たりにしてみると不思議だよな」 「一応、飲むことはできますわ。濾過されて冷却系に回されますの。固形物も摂取は可能ですが、色々と面倒なのであまりワタクシは好きではありませんわ」 「面倒、とは」 「分解に莫大なエネルギーが必要ですの。エネルギーを得るための行動にそれ以上のエネルギーをかけるのは不毛でしょう?」 それは道理。もともとは人とのコミュニケーション用として考案された機能らしいからな。実用性は皆無だろう。 「食事が趣味って神姫の話を聞いたことがあるが」 「味を感じることはできますもの。ワタクシ達のAIは人間に近い思考をとりますから、美味しいモノを食べて嬉しいと感じるのは当然ですわ」 「そりゃそうだな」 「……さて、ごちそうさまですわ。戦いがないならワタクシはこれで」 「おいおいおいちょっと待てコラ」 バイザーをはめてさっさと交代しようとするヒルダに俺は待ったをかける。 「何ですの?」 「茶を飲んだだけでもう変わる気かお前」 「……お代でも取る気ですの?」 「誰がそんなもん取るか」 うちに勝手に来て菓子漁って帰るどっかの馬鹿はそろそろ警察に突き出してもいいとは思うが。いやそうじゃなくて。 「お茶を頂いた。話をした。茶飲み話という条件はこれでクリアしていますわ」 「お前についての話をしようと思ってるのにお前がいなくなってどうするんだよ」 「ワタクシの話ですの? 茶飲み話と言ったのはそちらでしょう?」 「言葉の綾だ。本当に茶だけ飲んでどうする」 「ではさっさと本題に移りなさいな。ワタクシ、回りくどいのは嫌いですわ」 本題……ねえ。 俺はため息をつく。 いろいろ聞きたいことはあるが……とりあえず。 「お前はもう一人のヒルダの事を認識してるか?」 「もちろんですわ。彼女が表に出ているとき、私も意識はありますもの」 「……はっきりと意識があるのか?」 「いいえ。夢うつつといった感じですが」 これは表のヒルダと一緒か。まあこの程度は予測範囲内だな。 「初めて起動した日がいつかわかるか?」 「二〇三七年十一月十三日ですわ」 正解。つまり、表のヒルダが自我を持った瞬間、こいつも生まれたってことだ。……こりゃ単なるバグなんかじゃなさそうだな。 「初めて戦った相手は?」 「……さっきから何を言ってますの? 愛の持つアルトレーネに決まっているでしょう?」 そう。愛にそそのかされてイーダ・ストラダーレ型を購入し、その場で起動させられてすぐにバトルにもつれ込んだのだ。 バトル終盤、リーヴェの放ったゲイルスケイグルがヒルダの顔をかすめてバイザーが破損。そしてこいつは覚醒し、暴走した。 あの時の愛の唖然とした顔は写真に収めて送りつけてやりたいほど貴重なものだったが、あいにくその筐体の向かい側で俺も同じ顔をしていたに違いない。 そしてその時のリーヴェとヒルダの痴態の録画映像が、アングラで高値で取引されているとかいう噂を聞いたことがある。信じたくもない。 ……次の質問はこれにするか。 「何でお前は戦う神姫全員にセクハラしやがるんだ。今日で被害数が二十を突破したぞ」 「敗者は勝者にとっての供物でしかありませんわ。それをワタクシがどうしようとワタクシの勝手でしょう?」 「相手の感情は無視かよ。それじゃ立派な強姦だろうが」 「敗者は地べたをはいずり回って泣くのがお似合いですわ」 「それはお前個人の考えだもんでとくに言及はしないが、地べたに押し倒して鳴かせるのはいかがなもんかと」 「あら、うまいこと言いますわね」 「褒められても全く嬉しくねーよ」 そしてうまいこと言ったつもりでもねーよ。 「というかあれだ。何でセクハラばっかりしやがる」 「趣味ですわ」 「趣味て」 「他に大した趣味もありませんので」 「なんでだよ。探せばいくらでも見つかるだろうが」 「バトル以外で表に出ているのは『彼女』ですし」 「……それはそうだが」 確かに、今日初めてバトル以外で俺はこいつを呼び出した(呼び出したこと自体が今日初めてだが)。そういう意味では、俺はこいつをヒルダという檻の中に閉じ込めていたともいえる。 「……まあ、確かに。それは悪かった」 「別にかまいませんわ。ワタクシとしては、勝つことさえできればよいのですから」 「正直なところ、それはどうかと思うが」 「何故ですの? 武装神姫は戦うために生まれた存在。戦うことに意義を見出し、勝つことで価値が生まれるものですわ」 「戦うことは確かにお前たちの根幹をなすものだろうが、武装神姫は元々人間のパートナーとして生み出されたもんだろう。それについてはどうなんだ」 「そんなもの、ワタクシの知ったことではありませんわ」 「おいおい……」 つまり俺とコミュニケーションを取るつもりが皆無である、ということか。厄介な。 「なんでそんな俺を毛嫌いしくさる。神姫はマスターに対して絶対とはいわんが従うものなんじゃないのか」 「先ほどから申し上げています通り、ワタクシは貴方をマスターとして認識しておりませんので」 認められてねーってか、くそったれ。 まあ確かに、イーダ型の基本的な性格は高飛車なものだし、むしろヒルダの性格が本来のイーダ型のそれとずれていると言ってもいいから、元々こんなもんなのか? ……神姫オーナーとしての経験値が少ないせいか、よくわからん。 「じゃあどうすればお前は俺の言うことを聞くんだよ」 「未来永劫、ありえませんわ」 「歩み寄りの精神ぐらいみせろよ!」 「貴方がワタクシに適応なさいな」 くっそ、プリインストールされた性格とは言え、腹が立つな。 「では、お話はすみましたね? ではこれで。次は戦いの場でお会いしましょう」 「あ。てめ! こら!」 あわてて掴みかかったが、時すでに遅し。俺の右手のひらの中ではバイザーをつけたヒルダがびくりと肩を震わせて俺を見上げていた。 「マ……マス、ター?」 「……すまん、逃げられた」 ため息をつき、ヒルダを離してやる。ヒルダは俺の剣幕に心底おびえていたようだが、呼吸を整える。 「……くそったれ」 「……結局、どうでした? あの……『彼女』は」 「全く話を聞かなかったよ。なんとかしてあいつの手綱を握る方法を考えなきゃな」 茶をもう一杯淹れながら俺は呟く。ヒルダのにも淹れてやると、彼女がおそるおそる喋り出した。 「あの……マスター。差し出がましいようですが、提案があります」 「……提案?」 「はい。彼女に言うことを聞かせられるかもしれない方法です。かなり荒療治だとは思うのですが……」 バイザー越しに見上げてくる彼女の視線は、どこか決意めいたものを感じた。 俺はぐっ、と湯呑をあおると、彼女に言葉の続きを促した。 ◆◇◆ 「はああああああああっ!」 「くふっ、くふふふっ」 翌日、俺たちはゲームセンターへと足を運んでいた。 今回の対戦相手はリーヴェ。こちらから挑戦した形になる。 開始三分ですでにバイザーは壊れ、裏のヒルダが表出してリーヴェに襲いかかっていた。 ……まあ、今回は想定の範囲内なんだが。 一応、こちらから指示を出しているものの、ヒルダは全く従う気配がない。それでもその一挙手一投足は着実にリーヴェを追い詰めていく。 「く……流石ヒルダちゃん、間近で見れば見るほど感じるすさまじいまでの戦闘センスですよー!」 「御褒めにあずかり光栄ですわ。再び貴女を這いつくばらせて差し上げます!」 下から打ち上げられるエアロチャクラムを副腕に搭載したシールドで打ち払い、リーヴェは距離を置く。させじと突出するヒルダ。 しかしヒルダが自らの間合いにリーヴェを捉える前に、リーヴェはすでにシールドと大剣ジークリンデの柄の結合を終えていた。 シールドが展開。内部からエネルギーの刃があふれ出すと同時に、リーヴェはそれを投擲する――! 「――【ゲイルスケイグル】!」 副腕から豪速で放たれた槍は一直線にヒルダへと向かった。極至近距離で放たれたそれをヒルダは避けきるすべがない。 「!!」 「――くふふっ」 しかしそれをヒルダは素体にあたらないレベルの挙動で避けた。左のエアロチャクラムが接続パーツごと千切れ飛んだが、ヒルダの突進自体は止まらない。 ヒルダは右手首の袖を展開。リーヴェにアイアンクローを叩きこんだ。 途端にリーヴェの膝から力が抜け、地についてしまう。 「し、しま―っ」 「くふふふふっ。それでは頂きますわ――?」 ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! ――Surrender B side. Winner Liebe. いつものように鳴り響いたサレンダー。 しかし、それによってジャッジシステムが告げた勝者の名はヒルダではなく。 「――え――」 ヒルダの身体が一瞬にして0と1へと分解され、空へと還っていく。 リーヴェはそれを見送り、呟いた。 「幸人ちゃん、ヒルダちゃんは手ごわいのですよー。頑張ってくださいねー」 ◆◇◆ 「……これでよかったわけ? 本当に」 向こう側の筐体でリーヴェを回収しながら愛は言った。 「大丈夫だろう。ヴァーチャル空間で裏ヒルダが現れても、ゲームが終わればその意識は自動的に封じられる。あとは根競べだ」 俺はヒルダを胸ポケットに入れて答える。 「ヒルダ、もう一人のお前の事何かわかるか?」 「……多分ですけど、すごい怒ってます」 だろうな。だけどこっちもそれが目的だし。 勝つことを至上とし、固執する裏ヒルダに手綱をつけるには、そのプライドを叩きつぶすほかない。 そのための方法としてヒルダが提案したのは、裏ヒルダが暴走しそうになった瞬間、俺がサレンダースイッチを押すことだった。 ……行き過ぎて暴走しないよう、調整は要るだろうが。 ヒルダの勝率も落ちるし、俺自身にはデメリットしかないが他に方法も思いつかない。行き当たりばったりの作戦であることはわかっているが……。 あれだ。裏ヒルダの手綱を握るための先行投資だと思おう。普通に勝つなら勝たせてやればいいんだし。 「さて、これが吉とでるか、凶とでるか……」 俺はため息をついて、再び筐体の前に座った。 幸い、対戦相手に関しては断った面子にこちらからメールを送ることで事欠かない。 もちろんこちらの作戦に関しては伝えて了承を取ってある。 あとは裏ヒルダが折れてくれるのを待つだけだ。 俺はそう思いながらヒルダをエントリーポッドへと送りこんだ。 進む 戻る トップへ
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FAQ ※まずは付属のマニュアルを読みましょう。 「スタートメニュー」から「プログラム」→「KONAMI」→「武装神姫」→「武装神姫バトルロンドマニュアル」 このページとマニュアルを読めば、ある程度の疑問は解決できると思います。 初心者さんは初心者向けガイドにも目を通してみましょう、 wikiの左メニューの一番上で「wiki内検索」をしてみるのも有効です。 それでもわからなければリンクより「武装神姫バトルロンド・質問スレ」へどうぞ。 まず始めにQ.このゲームって無料? Q.あれ?起動させようとしたら落ちるんだけど? Q.あれ?装備の形状が表示されるっているアイコンが歯車のままなんだけど? Q.あれ?スクリーンショット撮ったのに真っ黒に版権表示なんだけど? Q.ゲーム内データの保持期限は? Q.名前って他人と被ってもおk? Q.名前の変更はできるの? Q.1文字だけの名前って付けれないの? Q.課金しないと勝てないの? Q.今からやってもレベル差あるから勝てない? システム関連Q.最近バトルロンドのロードがもたつく/重い Q.バッテリー切れたんだけど、満タンになるまでどれくらいかかるの? Q.オススメの素体は?/オススメの育成方針は? Q.素体とか武装を増やしたいんだけど、どうすりゃいいの? Q.限定パーツって何の話? Q.大手裏剣ってどうやって入手するの? Q.アクセスコード入力したら、二刀流・二丁拳銃できない武器を2つ貰ったんだけど? Q.EXウェポンセット勢の素体が足りない。この生首祭どうしてくれよう Q.ショップで気になるアレを買いたいけど、これの性能って事前にわかる? Q.試用チケットってどうやって使うの? Q.グレードシルバーになっても購入できる品が増えません。どうしたら増えるのでしょうか? Q.普通と髪型の違う神姫を見かけるけどあれは何? Q.リストアできないんだけど? バトル関連Q.神姫が言う事を聞いてくれない Q.防御してくれない/回避してくれない Q.追撃スキルが出ないんだけど? Q.コアとか素体とかCSCが違うと何がどう変わるの? Q.自分より高レベルの相手としか当たらなくて萎える Q.うちの子ふっとび過ぎで、後攻に回ると打撃が全然当たらない Q.このゲームって対人戦? Q.友達と対戦できない Q.装備数制限/重量制限を緩和するにはどうすればいい? Q.マッチング後、作戦指示中に落ちたんですが相手に迷惑が掛かっていないでしょうか Q.トレーニングしたのに全然ミッションで勝てないよ Q.ジャーナルに「過度のトレーニングは~」って書いてあったけど? Q.ルビー+サファイアとガーネット×2はどちらの効果が高いですか? Q.武器を持たせても素手で殴りに行くのですが… Q.バトルシミュレータ、人がいるのにマッチングしない(緑ネームと当たる)事があるんだけど・・・ その他Q.オープニングの曲の詳細教えてOP1 OP2 Q.武装神姫マスターズブックってなぁに? コメント まず始めに Q.このゲームって無料? 忍者型フブキと、その武装を無料で使用できます。 バトルロンドに先駆けて開始された、ジオラマスタジオ用に登録したデータも一部を除きそのまま転用可能です。 Q.あれ?起動させようとしたら落ちるんだけど? Q.あれ?装備の形状が表示されるっているアイコンが歯車のままなんだけど? Q.あれ?スクリーンショット撮ったのに真っ黒に版権表示なんだけど? グラフィックボードの性能不足と思われます。買い換えるか諦めるかしましょう。 オプション設定でウィンドウサイズと描画クオリティを下げると解決する場合もあります。 グラフィックボードのドライバを最新バージョンにすると症状が改善するかもしれません。 パーソナルファイヤーウォール等でバトルロンドのゲームサーバへの接続を弾いている可能性もあります。お使いのファイヤーウォールのログを確認してみてください。 物理メモリにエラーがないかメモリチェッカーで確認しましょう。 Q.ゲーム内データの保持期限は? 規約によると、最終ログイン日から180日間とのこと。 その期間を過ぎると、登録しているオーナー名と神姫データなどのセーブデータが失効されます。 あくまで育成データが消えるだけで、購入したアイテムなどのデータが消えるわけではありません。 ……ただしアチーブメントなどで入手した装備品は不明です。 Q.名前って他人と被ってもおk? オーナー名は不可、神姫名なら可。ただし同じ名前の神姫は複数所持できません。 Q.名前の変更はできるの? オーナー名とセットアップ後の神姫名の変更はできません。 神姫の名前が気に入らない場合は、新しく別の神姫をセットアップするかリセットするしかありません。 Q.1文字だけの名前って付けれないの? 空白+1文字で可能です。前後どちらでも可。 Q.課金しないと勝てないの? 戦闘は戦術と武装の相性が一番重要なので、一概にそうとも言えません(建前)。 実際には、十分な経験のある熟練オーナーがあえて無課金忍者型フブキで制限プレイするのならともかく、 新規で始めた初心者さんでは、無課金のままで勝ち抜いて行くことは厳しいです。 C~Bクラスではまだ頑張れますが、Aクラス以降では相当な運に恵まれないと勝てないと思います。 ただし、高い勝率を残せるかどうかと、このゲームを楽しめるかどうかはイコールではありません。 Q.今からやってもレベル差あるから勝てない? こちらに関してはそんな心配はありません。 勉強熱心なプレイヤーであれば、知識については追いつく事が可能です。 システム関連 Q.最近バトルロンドのロードがもたつく/重い アップデート前は問題ない、という人向けの回答しか出来ませんが、 自分のPCのクリーンアップとデフラグを行って下さい。 Q.バッテリー切れたんだけど、満タンになるまでどれくらいかかるの? 1時間につき1目盛りずつ回復。計10目盛りなので、ゼロから満タンになるまでは10時間かかります。 課金アイテム「急速バッテリー充電器」を使えば即座に回復させる事も可能です。 (急速バッテリー充電器は初回ログイン時に10個もらえます) が、神姫を複数体セットアップすれば、1時間に対する合計の回復量も当然増えます。 武装の入手ページも参考にした上で、フルセットを購入した方が良いでしょう。 Q.オススメの素体は?/オススメの育成方針は? ぶっちゃけどの神姫にも勝ち目はあるから、自分で気に入った神姫を育てるのが一番オススメ。 素体の能力表はセットアップを参照してください。 育成方針よりも重要なのはオーナー自身がよく考えることです。 (例えば同じ育成方針の同程度のレベルの神姫同士の戦いの場合、勝敗を決める大きな要素はオーナーの采配です) 他人の強い神姫の武装やレベルをよく見て、真似してみるのも良いかもしれません。 Q.素体とか武装を増やしたいんだけど、どうすりゃいいの? 武装の入手のページを参照。 基本的には、フィギュア実物を買うか、「神姫ポイント」を介して神姫ショップでデータを購入するかの二択になります。 ちなみに「神姫ポイント」は最終利用日から1年間使わないと失効すると規約にあるので注意。 データ限定の素体や武装も多数あるので、チェックしてみましょう。 Q.限定パーツって何の話? 特定の期間にログイン、またはイベントに参加する事で入手できる、非売品パーツが存在します。 公式で随時告知されるので、定期的にチェックするようにしましょう。 またキャンペーンのページにも情報が記載されています。 大抵のものは期間終了後、CSC交換やふくびきで再配布されます。 Q.大手裏剣ってどうやって入手するの? 下記参照。 http //www.shinki-net.konami.jp/info/tgs2006rpt.html Q.アクセスコード入力したら、二刀流・二丁拳銃できない武器を2つ貰ったんだけど? 「大手裏剣“白詰草”」や「ホーンスナイパーライフル(サンタ型ツガルのメインウェポン 小銃)」などの、 二刀流・二丁拳銃できない武器の2つ目は、ジオラマスタジオで使用する為のものです。 バトルロンドでは2つ装備しても意味は無いので気をつけましょう。 Q.EXウェポンセット勢の素体が足りない。この生首祭どうしてくれよう フィギュアに素体が付属しないEXウェポンセットには、デジタルデータ限定ですが専用素体が存在します。(各500spt=500円) また、オンラインオリジナル素体として、エレガンスやバンテージといったコア無しの素体も発売されています。(各450spt) これらを購入すれば、他の神姫の素体を回す事無くEX勢を育成できます。 Q.ショップで気になるアレを買いたいけど、これの性能って事前にわかる? 神姫ショップの商品リストで、試着することで確認出来ます。 見たい武装を試着かごに入れて、試着かごを確認→試着するで試着室に進むことが出来ます。 フルセットは試着できませんが、武装セットは試着可能です。 また、試用チケットが残っていれば、装備を3日間(72時間)だけレンタルすることも可能です。 有効に活用しましょう。 Q.試用チケットってどうやって使うの? 各パーツの「詳細」ページを開き、「この商品を試用」を選択してください。 試用できる商品は、「メインウェポン」「サブウェポン」「リアパーツ」「アーマー」「アクセサリ」「その他」のカテゴリの商品のみとなります。 「フルセット」「武装パーツセット」「素体」「メンテナンス用品」が試用できないのは当然ですが、 「スペシャル」カテゴリでのみ販売されている「忍者刀”風花”」なども試用ができないので注意してください。 なお、試用チケットはバトルロンドのショップでのみ手続きが可能です。 また、試用装備はノーマル武装では装備できません。 Q.グレードシルバーになっても購入できる品が増えません。どうしたら増えるのでしょうか? 神姫ショップの商品リストを開き、最上部のカテゴリリストから「スペシャル」を選択してください。 なお、現在はバトルロンドのショップでのみ購入可能。ジオラマスタジオでは購入できないのでご注意ください。 Q.普通と髪型の違う神姫を見かけるけどあれは何? ショップ販売の「エクステ」または、一部神姫に武装の一部として付属するヘアパーツを装備しているからです。 なお悪魔型、サンタ型のツインテールはフルセット/武装セットにしか付属していません。 Q.リストアできないんだけど? その神姫はオフィシャル戦を100戦以上行っていますか? その神姫は成長限界に達していますか? その神姫はクレイドルで寝ていますか? バトル関連 Q.神姫が言う事を聞いてくれない セットアップ直後は言う事を聞かない事が多いです。親密度を上げて行く必要があります。 親密度を上げるには戦闘後に誉めてあげる事が大切です。 神姫技能試験CクラスI(いわゆるパシュミナ道場)で稽古をつけてもらいましょう。 命令の内容に関しては、神姫によって受け取り方が違います。 「高ダメージを狙え」というのは、「攻撃力の高い武器を使え」という意味ではない事に注意しましょう。 Q.防御してくれない/回避してくれない まずはAIを育成しましょう。こちらもやはり道場通いがオススメです。 戦闘前に「回避してスキを狙え」もしくは「ガードしつつ耐えろ」を選び、戦闘終了後に誉める。 その内、回避かガードを必ず狙うようになると思います。 ただし、元々防御向きでない神姫は、ガード以外の指示に変えた途端ガードしなくなる場合があります。 同様に、回避向きでない神姫も回避以外の指示に変えた途端回避しなくなる場合も存在します。 また、マニュアルにも記述されている通り、防御は「WAIT」状態、回避は「WAIT」か「MOVE」状態でなければ行いません。 「PRE-ATTACK(攻撃準備)」に行う場合もありますが、こちらは完全なランダムとなっています。 攻撃終了直後の「POST-ATTACK」中は反撃スキル以外は使用不可能となっています。 回避もガードも出来ないので注意して下さい。 詳しくは、攻撃の「準備時間」と「硬直」を確認して下さい。 構えてから攻撃するまでが「準備時間/PRE-ATTACK」で、 攻撃後の行動可能になるまでの時間が「硬直/POST-ATTACK」です。 基本的には、準備時間と硬直の少ない武器であれば回避も防御もし易くなります。 当然、例外もあるのでその辺は慣れてくれとしか言えませんが・・・ Q.追撃スキルが出ないんだけど? まず、スキルレベルとSPを確認して下さい。 また、追撃スキルを使った後の戦闘評価で誉めてあげないと使うようにはなりませんのであしからず。 それでも出ない場合は、距離が関係します。 「サンドスプラッシュフィーバー」の場合は、相手神姫との距離が0-150で、通常攻撃が当たった場合発動します。 しかし、武器によってはノックバックして相手が後退してしまう事があり、 ノックバックで距離が150を0.1でもオーバーしてしまうと発動しなくなります。 また、「ヘルストーム」などの中距離以上の追撃スキルの場合は当然、 相手の距離が100以下の状態で攻撃を当てても発動しません。 ただしこの場合、攻撃を「準備した(構えた)距離」が100以上で、相手が移動して距離100以下になったとします。 その後、準備していた攻撃が当たって相手がノックバックして再度、 距離が100以上になった場合は発動する事が出来ます。 Q.コアとか素体とかCSCが違うと何がどう変わるの? コアで行動の傾向や武器の得手不得手が決定されます。 素体で基本性能が決まり、CSCは素体の性能を変化させます。 一度セットアップすると変更するのは(リセットしない限り)不可能です。気をつけて決めましょう。 Q.自分より高レベルの相手としか当たらなくて萎える レベル差が20くらいのバトルでも勝利したという報告もあるので、頑張りましょう。 人の多い時間帯なら、高レベルとのバトルの確率が減ります。 (人の多い時間帯のことをピークタイムと呼びます。だいたい夜の8時から12時くらいまで) Q.うちの子ふっとび過ぎで、後攻に回ると打撃が全然当たらない 被ノックバック距離は対ダウン値を上げる事で軽減する事ができます。 逆に、武器のダウン値が高いほど与ノックバック距離は大きいです。 Q.このゲームって対人戦? オフィシャルバトル戦とバトルシミュレータ戦は対人戦です。 ミッションバトルの敵神姫はNPCです。 また、シミュレーションバトルで出る文字が緑色の相手は 武装神姫のサーバーにある他のプレイヤーのデータからランダムで選出された物です。 プレイヤーデータを借りたNPC、と考えて頂ければ結構です。 ちなみに、緑文字神姫の装備セットはランダムで決定されます。 Q.友達と対戦できない オフィシャルバトルとバトルシミュレーションのマッチングは、同クラスの中からランダムで決まります。 任意の相手との対戦がしたければ、神姫センターのティールームを利用するのが早いでしょう。 その他のオーナーに参加して欲しくない時はパスワードも利用しましょう。 ティールーム戦は特殊ルールのバトルやクラスの垣根を越えたバトルが出来ます。 ただしアチーブメントは取得できません。 詳しくはオンラインマニュアルのティールームの項目を参照。 Q.装備数制限/重量制限を緩和するにはどうすればいい? オフィシャルバトルに勝つとC→Bのようにクラスが上がり、それに伴って制限が解除されていきます。 詳しくはマニュアルの「!? 神姫のクラスアップ」を参照して下さい。 Q.マッチング後、作戦指示中に落ちたんですが相手に迷惑が掛かっていないでしょうか 対戦相手とマッチングした瞬間に戦闘を完了したことになっています。 その場合、武装1、デフォルトの戦術を選択したことになります。 選択後に落ちた場合はその選択通りに戦闘したことになっています。 Q.トレーニングしたのに全然ミッションで勝てないよ Q.ジャーナルに「過度のトレーニングは~」って書いてあったけど? トレーニング直後は100%の実力を発揮できないのです。 どんなに強い神姫でも、トレーニング直後は結構弱くなります。 オフィシャル戦を数回行う事で本来の能力を発揮出来るようになります。 詳しくはトレーニングの「実戦感覚」についての説明をご覧下さい。 Q.ルビー+サファイアとガーネット×2はどちらの効果が高いですか? 運次第です。 詳しくは武装神姫マスターズブックをご覧下さい。 Q.武器を持たせても素手で殴りに行くのですが… 残念ながら仕様です。「得意距離を回避するため移動」が出なくなるまでミッションに通ってください。 またはミッションまたはテーブルで特殊ルール(射撃武器禁止など)が設定されていないか確認してください。 Q.バトルシミュレータ、人がいるのにマッチングしない(緑ネームと当たる)事があるんだけど・・・ レベル差があるとマッチングしない仕様になっています。 Cは10、Bは20、Aは30、Sは40、EXは50の差があるとマッチングしません。 その他 Q.オープニングの曲の詳細教えて 小ネタのページも参照。 OP1 題名:「I WILL FOLLOW YOU」 歌手:阿澄佳奈(アーンヴァル役) 茅原実里(ストラーフ役) コナミスタイル限定で発売されている「武装神姫RADIO RONDO」に、フルバージョンが収録されています。 歌詞はマスターズブックに記載されているのでここには書けません。あしからず。 OP2 題名:「Into the shining World」 歌手:加藤英美里(エウクランテ役) 井上麻里奈(イーアネイラ役) Q.武装神姫マスターズブックってなぁに? 武装神姫マスターズブックというガイドブックがあります。 ゲーム上では確認できない(wikiにも転載していない)データ類がいくらか記載されており、限定アイテム「ナースセット」も付いてきます。 ただし、2007年8月17日に発売された物なのでデータが古いです。必要性を感じるのであれば買ってみても良いでしょう。 コメント ※ここは質問コーナーではありません まず自分で調べ、それでも分からなかったら本スレで質問をし、 それで得た情報をここに書き込んでくださいませ。 オーナーグレードによる限定販売品について答えてみました。(システム関連の項参照) -- (名無しさん) 2007-07-04 00 43 15 PFWとしてPeerGuardianを使っている場合、210.249.144.106~210.249.144.107を解放しておくと良いことが有るかもしれません。 -- (名無しさん) 2007-08-18 20 29 21 公式URLの変更に伴ってティールームの項目へのリンクが切れているので修正してくださいますか? 他のページでも同じようなリンク切れがあるかも…と思ったので、古いURLでwiki内を検索して新しいURLに置換してもらえたら嬉しいなーと黒子が申しております -- (名無しさん) 2007-12-13 15 58 42 今日、ゲーム内データの保持期限についてコナミさんに直接問い合わせました。180日間の放置で神姫の育成データは消滅するけど、オーナー情報やアチーブメント、CSC等は消えずに残るそうです。 -- (名無しさん) 2008-09-14 00 21 09 Q.自分より高レベルの相手~の部分に関して ClassCバトルにてLv42の課金装備なしのフブキさんでもLv98白子(攻撃・命中がLv25程度で武装は覚えていないがバトルロンド専用課金装備使いまくりだったのは確か)に勝てました 本来なら証拠データを提出すべきなんでしょうがレベル的に絶対勝てないだろうと思っていたところで勝ってしまったので動揺してリプレイ保存忘れました・・・すみません やる気さえあればフブキオンリーでも頑張れないことはないという証明のため一応。 でも実際問題どうしても課金(フィギュア購入含む)できない状況でなければある程度の武装確保のために何かしら買った方がいいと思います(フブキが弱いとかそういうのでなく他の神姫を手に入れることに夜武装の種類拡張や各神姫のアチーブメント達成時にもらえる武装等の関係でフィギュア持ってるor課金して複数育ててる人の方が有利になるため) -- (リエル) 2009-06-10 01 55 39 レベル差でも相手が絶賛トレボケ中だったりで、結構いい勝負になることがあるね 諦めなければ勝ちが拾えることもあるよ -- (名無しさん) 2009-06-10 03 10 57 そうですね それ以外だと武器構成を唐突に近接から射撃オンリーに変える等の大幅な変化が見られる場合はAIが混乱するのか挙動がおかしくなります(遠距離武器しか持っていないのに間合いを詰めてサンドバッグ状態になる等) どれもバランスよくないと勝てないって事ですかね -- (リエル) 2009-06-14 19 28 03 ティールームでは、魚拓のアチーブメントはとれます -- (名無しさん) 2009-10-26 22 15 49 起動で落ちるという部分ですが こちらの環境(メインとTV出力のマルチディスプレイ)では、 設定の解像度が両ディスプレイの解像度以下でないと動作しませんでした。 (クライアントを表示させているのがメインの方でも) 当初の設定↓ メイン:1280*1024 TV:800*600 武装神姫:1024*768 上記だとダメなのでTVの解像度を上げるか、設定を下げないと起動しません。 起動時に全てのディスプレイのチェックをしているのでしょうか? 最初は単にスペック不足かと思って諦めかけたのですが、上記で起動したので報告までに。 -- (名無しさん) 2009-12-16 13 57 25 回避か防御を覚えさせることはできたのですが スキルを出すタイミングを覚えさせるのも褒めるか叱るかなんですよね? そうすると回避か防御覚えさせてのがまたチャラになるか不安なのですがどうやって覚えさせればいいのでしょうか? -- (名無しさん) 2010-03-09 22 31 20 名前 コメント すべてのコメントを見る
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前へ 先頭ページへ 次へ 第十五話 上空戦 「ねえ」 弾頭のハッチが閉められようとする間際、見送りに来た興紀にクエンティンは訊いた。ミサイル垂直発射管室には理音も来ていた。 「なんだ」 興紀はハッチの中を覗き込み、そこに宇宙飛行士のように横向きに座っているクエンティンをみる。 「ありがとね」 「なんのことだ」 「会議室のこと」 興紀は、ああ、と合点がいったように口をあけた。「そんなことか」 エイダがいなければアーマーンは動かない。通常兵器ではおそらく有効打さえ与えられないであろう島レベルの規模を誇る要塞を止めるには、それが一番効率的であろうことは、あの場にいた誰もが分かっていた。発案した執事はまさに断腸の思いであったろうし、興紀の決定がもう少し遅ければ理音だって反対していた。 興紀は、執事があの場でエイダの立場を知る前に発案していたとおりに進めることを押し通した。それは結果的に、エイダ、そしてクエンティンの命を救うことになった。 「勘違いするな」 と、興紀は言った。 「まだピクリとも動いていないただの張りぼてのために、貴重な主戦力をむざむざ自分で潰すなどという愚挙をおかしたくなかっただけだ」 それが建前であることはもはや周知の事実で、興紀は神姫を道具として考えていればこそ、その愛着は人一倍であった。ずっと後になってから分かったことだが、彼ほど道具としての武装神姫を愛した人間はいなかった。ただ、それが武装神姫自身の幸せとはかみ合わなかっただけなのだ。そんな理由でむざむざ廃棄されていった数十体の過去のルシフェルを正当化しようなどとは誰も思わなかったし、むろん興紀自身も許されようとは考えていなかったが。 「それでも、ありがとう」 横倒しになったままクエンティンがあらためて礼を述べると、興紀は一瞬だが、顔をほのかに赤くして視線をそらし、自分の手で最後の垂直発射ミサイルの弾頭ハッチを閉めた。今のところは、クエンティンが興紀と対面したのはそれが最後である。 理音には部屋で話してから、一言も言葉を交わさず、別れの挨拶も言わなかった。また会えると確信していたからだ。 真っ暗になった弾頭内の急造スペースで、クエンティンとエイダは静かに出撃の時刻を待った。完全に洗浄されていたが、炸薬の匂いはほのかに残っていた。潜水艦のレーダー経由で近海に意識をはせると、EDEN本社所有のフェリーが数隻、同じように待っているのが分かった。 「回天に乗った兵士も、おんなじ気持ちだったのかしらね」 九十年以上前にこの国を守るため魚雷に乗って命を散らしたものたちを、知識の上でしか知らないクエンティンは想った。きっと彼らのおかげで、自分たちには帰りの分があるのだと脈絡も何もない感謝をした。 「生きて帰るわよ、エイダ」 ――――。 エイダは何も答えなかった。 「・・・・・・エイダ?」 カウント、ゼロ。 轟音とともに凄まじいGがかかった。ミサイルが発射された。数秒の海水を切り裂く浮上音の後に、海面を飛び立つスプラッシュ、自身のレーダーで周囲を意識すれば、島上空で降下するための神姫たちを三体ずつ乗せた何発ものミサイルが、本来の体当たりの役目も帯びたダミーのミサイルと織り交ざりながら自分達に続き、フェリーからは鶴畑の私設軍と神姫たちを乗せた揚陸ボートが躍り出ている。 先陣と梅雨払いはクエンティンたちの役目であった。 ミサイルは高度二千フィート、およそ六百メートルの低空で水平飛行に移行し、安定翼を展開する。みるみる島への距離が縮まってゆく。飛行船はまだ飛び立っていない。 いや、今動き出した。 「ギリギリか!」 余裕の無いのはいつものことだ。クエンティンはみずからを落ち着かせる。 後続のミサイルの一発がいきなり爆発した。 “島の迎撃レーザーシステム作動を確認。弾頭部破棄。シールド全開” 「了解!」 クエンティンはバースト。全身からほとばしるエネルギーの圧力はそれだけでミサイルの弾頭カバーが飛ばした。彼女はふきっさらしになる。すかさずシールドを展開。直後シールドにスパークがはしる。迎撃レーザーが当たった。普通の神姫ならば瞬時に消し炭と化すほどの高出力な代物である。センサーやコンピュータのある弾頭が脱落したためクエンティンを乗せたミサイルは一瞬よろめいたが、はるかに高性能なエイダがそれを肩代わりすることでミサイルはその時点から超高機動の戦闘機に豹変した。 地平線の上にぽつんと島が見えはじめた。 “レーザー砲台を確認、総数四。ハルバード・デバイスドライバ、インストール完了” クエンティンの右腰で空間圧縮が解かれ、長大な砲が顕現する。ヘッドギアから遠距離照準用のスコープが下がる。無望遠ではいまだ点にしか見えない要塞島がレンズいっぱいに映し出され、そこでせわしなく明滅している四基のレーザー砲台もはっきりと確認できた。 ハルバードを腰だめに構える。弾体加速ターレットがプラズマをほとばしらせつつ加速のための電力をチャージする。 一番左の砲台にロックオン。そのままおもむろに撃った。 空気の摩擦による炎の飛行機雲を引きながら、超音速でタングステン製の針状弾が射出された。カウンターマス代わりの余剰電力が台尻のフィンから青白い火花となって散る。 きっかり一秒のスパンを置いて、左端の砲台が根元から引きちぎられるように吹き飛んだ。 残り三基の砲台も排除したとき、すでにアーマーンは彼女らの真下に広がっていた。 全員がミサイルを排除し、クエンティン以外は空挺部隊よろしくHALO降下を行う。本来のHALO降下ははるかに高空から敢行するものだが、身長十五センチの神姫たちにとっては二千フィートでも十分な高高度だった。ファントマ2アタッチメント――無骨なバックパックとLC3レーザーライフル並みの図体をもつ大口径機関銃を引っさげて、髪の毛も口もなく眼窩さえ開いていない頭で、白、黒、あるいは肌色一色のボディをしたMMSネイキッドの軍勢は、アーマーンの各地に分散して下りていった。後ろを振り向けば、妨害攻撃のなくなった海面を、白い波を引きながらそろそろと上陸に向けて侵攻する神姫と人間の混成部隊が見えていた。先陣を切るのはビックバイパーアタッチメントを纏ったルシフェル、そしてアージェイドイクイップメントのミカエル、ファントマ2アタッチメントを二セット装備してさらに全方位ミサイルポッドを背負ったジャンヌである。 クエンティンは前に向き直る。島上空を離れつつある数機の飛行船が目に止まる。全体を渡せば見えるだけで百機は浮遊している。ヘリコプターくらいの大きさの一機の中に果たして、何百というあの一つめどもが格納されているのだろうか。 何百いようが関係ないか。クエンティンは手に力を込める。これすべてがクエンティンに割り当てられた獲物なのである。ただ一つ救いがあるとすれば、飛行速度が鈍亀であることだった。 まずは島を離れてゆくものに狙いを定め、全速力でダッシュ。すると幾重ものオレンジ色の光跡が付近の飛行船から放たれ、クエンティンに殺到した。迎撃用の機銃である。用意できるものはしっかり乗っかっているな、と面倒そうに思いながら、弾幕の中を突っ切ってゆく。 西北西、日本側に向けて飛び立っている一団がもっとも遠いため、クエンティンはそこから料理することにした。 飛行船の真正面に陣取る。 “ファランクスのデバイスドライバ、インストール終了。使えます” ハルバードと同じように右腰に機関部が顕現する。こんどは長身の砲ではなく、短砲身の発射口が五つ並んでいる。ぐんぐんせまる飛行船の鼻先に狙いをつけ、クエンティンは撃った。 ブゥーンというモーターの回転するような音がして、丸い弾痕が飛行船の船首におそるべき速度で増えだした。数秒ほどそのまま撃ち続けていると、飛行船の動力部を貫通したらしく、斜め後ろから爆炎を上げてよろよろと墜落していった。 中から生き残っていたラプターが二十体以上も脱出して、クエンティンへ飛んでくる。これは彼女には予想外であった。ブレードを振り回してすべて切り伏せ、やっとのことで二機目に狙いをつけたが、今度はそこからラプターよりも小さな戦闘機がイナゴの大群を思わせる、反吐が出そうな数で飛び立ってきた。 “無人戦闘機モスキートです。ロックオンレーザーの使用を推奨します” クエンティンは再びダッシュ。視界のモスキートいっぱいにロ ックオンシーカーを重ねる。 発射。針ほどの細さに分割されたレーザーがシャワーのように降りかかり、モスキートを一匹残らず駆除する。先ほどの飛行船を撃破したときに大まかな構造を把握していたので、今度は動力部にもっとも近い装甲版にガントレットを打ち込む。構造材といくつかのラプターと一緒に、エンジンが圧壊。脱出路を作るまもなく数十体のラプターは運命をともにした。 だめだ、これでも効率が悪すぎる。振り返れば途方もない数の飛行船が残っている。第二団が発進をはじめている。 「エイダ、こいつらまとめて墜とすのに、いっちばん簡単なやり方教えて」 “了解。あと十秒ほどお待ちください。その間に飛行船団の中心に移動してください” クエンティンは言われたとおりにする。二十メートルほど急上昇し、すぐ下に飛行船団を臨みながらその編隊の中心へ、青白い軌跡を引いて飛ぶ。そして、その中でも一番真ん中に陣取っているであろう飛行船の上甲板に着地する。見渡せば全ての飛行船が全周に広がっている。 着地と同時にエイダが、 “ベクターキャノンの使用制限解除完了。ユニット展開開始します” と宣言するやいなや、クエンティンの頭脳内に操作方法がダウンロードされた。方法どおりに、両足を甲板に踏ん張る。 “システム、ベクターキャノンモードへ移行” 両腕を掲げる。そこに空間圧縮が解除され、ひじから先の三倍ほどある開放型重粒子砲身が装備される。 続けて、頭の真横から背部にかけて一気に圧縮解除、ファントマ2アタッチメントのバックユニットを思わせる巨大なエネルギージェネレータが出現した。 “エネルギーライン、全弾直結” 異常に気づいたらしく、周囲の飛行船の機銃がいっせいにこちらを向く。、相打ちも辞さない必死さで、狂ったように目もくらむほどの集中射撃が始まった。オレンジ色の火の玉が前から後ろから殺到する。しかしクエンティンは動かない。だまってシールドを全集展開し、機銃弾をすべて受け止める。みるみるシールドエネルギーが削れてゆく。 “ランディングギア、アイゼン、ロック” バックユニット下部から図太いアクチュエータが伸び、クエンティンはそちらに寄りかかる。トライポッドの安定性を獲得。アクチュエータ基部横から火花が散り、片側三本、計六本のアイゼンワイヤーが甲板へ深々と打ち込まれる。エイダはワイヤーを通じて足元の飛行船をハッキングし、タービンエンジンを制御装置ごと乗っ取った。 そして、砲身となった両腕の前方の空間圧縮が解かれ、六つのライフリングサテライトが正六角形状に浮かび上がる。さらに、サテライトと両腕の間の空間、つまりクエンティンの体の前の空間が今までにない大出力で連続圧縮をはじめた。 “チャンバー内、正常加圧中。ライフリング、回転開始” ライフリングサテライトがゆっくりと周回しはじめる。 周回速度はぐんぐん増してゆき、ついには目にも留まらぬスピードで一個のリングになった。 その間にも機銃は鳴り止まず、シールドは一瞬たりとも休められない。 「エイダ、まだなの!?」 “発射可能まであと六秒” シールドエネルギーが残り少ない。代わりにキャノンのエネルギーゲージが溜まってゆく。この六秒はクエンティンにとって最長の六秒になった。 早く! 早く! 早く! シールドエネルギーが切れる直前、ゲージが溜まった。 “撃てます” 冷静に、エイダは言った。 「いっ・・・・・・けぇー!」 連続圧縮を続けていたチャンバー空間が解き放たれる。一対の開放型砲身と六つのライフリングサテライトにより、膨大なエネルギーベクトルがまとめて真っ正面に向けられた。 圧縮から解き放たれた重金属粒子の奔流が、一本の光条となって撃たれた。それはクエンティンが立っているもののすぐ隣にいた飛行船をやすやすと貫通し、その奥にいた船も貫通し、さらにその奥に浮かんでいた船をもぶち破り、なお減衰されず直進した。 一番端っこの飛行船まで撃ち抜いたところで、エイダは足元の飛行船の左右にあるタービンエンジンを、それぞれ逆方向に全力運転させた。飛行船はその場でクエンティンごと回転をはじめる。 ぐん、と、いきなり光条が右に動いた。撃破された飛行船列を呆然と眺めていた船たちが、驚く間もなく横薙ぎにされ、上半分と下半分が泣き別れた。 それはまるで巨大な粒子ビームの刃であった。クエンティンが一回転し終えたとき、飛行船は一機も残っていなかった。ただいくつもの炎を噴いた塊が、ゆっくりと落ちていくだけだった。 役目を終えたベクターキャノンは、圧縮しなおされることなく、そのままばらばらと脱落した。 “試作品のため、ユニットの耐久限界を超えました。もう使えません” クエンティンは足元の飛行船にお礼のガントレットをぶち込んで、地上へ降下した。飛行船の残骸で押しつぶされたまぬけな空挺部隊はいなかった。残骸が全て落ち切ってから、地上部隊は上陸を開始した。 つづく 前へ 先頭ページへ 次へ
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先頭ページへ 装備構成解説 マイティ超高速巡航装備 軽量飛行装備 機動戦闘装備 シエンATパイロットスーツ装備 クエンティン瞬間移動装置活用装備 マイティ 超高速巡航装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ 胸部:FL012胸部アーマー 背部:リアウイングAAU7 エクステンドブースター×2 VLBNY1スラスター×2 ランディングギアAT3(補助スラスター付バージョン)×2 ポラーシュテルン・FATEシールド×2 VLNBY1増設ラジエーター VLBNY1携行小型タンク ぷちマスィーン・シロにゃん (GEモデルLC3レーザーライフル) 上腕部:VLNBY1腕部アーマー 下腕部:左/FL012ガードシールド、右/M4ライトセイバー 大腿部:VLNBY1脚部アーマー 脹脛部:VLNBY1収納ポケット 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: スティレット短距離空対空ミサイル×4 カッツバルゲル長距離空対空ミサイル×2 STR6ミニガン、もしくはアルヴォPDW9 登場時期:「強敵」~「固執」、「ねここの飼い方、そのじゅうさん、後半」 対アラエル戦、クエンティン遭遇戦の序盤など、初期によく用いられた構成。まだ煮詰まっていない段階の、雛形とも呼べる構成が対ルーシー戦でも登場している。 ありったけの推進装備をリアウイングAAU7に取り付け、推力を一方向に向けることで絶大な加速と最高速度をたたき出すことができる。推進器の取り付け方には変遷があり、後になるほどパワーロスが少なくなる(写真は初期の配置)。装備も射程の長いものを中心に取りまとめ、特に最終段階で片翼に懸架していたLC3レーザーライフルの長時間照射は前方の目標掃討に効果が高い。 本装備はアーンヴァルのもともと持っている高速飛行性能をさらに特化させることに成功しているが、同時に欠点も倍化させてしまっている。小回りはもちろん利かず、片腕にライトセイバーを付けているとはいえ近接戦闘は原則ご法度。さらに推進設備を全てリアウイングに集中させているために、推進器がどれか一つでも損傷してしまうとたちまち全体バランスの低下を招き、戦闘力が大きく削がれてしまう。バトルにおいてどんなに性能の高い神姫といえど、一発も被弾せずに戦う、などというのはほとんど無理な話なのである。 良くも悪くもピーキーに着地する結果となり、これ以上の発展を見込めないと判断したマイティとマスターは、飛行能力というアーンヴァルの特性を生かしたまま、より戦闘に適応する装備構成を模索してゆくことになる。 試行錯誤の末、現在以下の二つの構成が登場している。なお、すべての装備にほぼ例外なく取り付けられているぷちマスィーン・シロにゃんは、主に装備の制御や索敵などを担ってマイティの負担を軽減する、いわばフライトオフィサーである。 軽量飛行装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ(棘輪) 胸部:FL012胸部アーマー(争上衣、ぷちマスィーン・シロにゃん搭乗) 背部:白き翼 上腕部:VLBNY1収納ポケット(なし) 下腕部:M4ライトセイバー×2(FL012増設アーマー) 大腿部:ハグダンド・アーミーブレード(なし) 脛部:ランディングギアAT3(脚部機能停止のため排除) 武装: カロッテTMP (忍者刀・風花、ぷちマスィーン八体) ※( )内は「信念」における装備 登場時期:「固執」、「信念」、「ねここの飼い方、そのじゅうさん、後半」 もともと白き翼のテストのために考えられた構成で、翼の性能を最大限に生かすためかなりの軽装となっている。クエンティン遭遇戦においては「装備B」として、変更されたフィールドに対応するために登場した。また「信念」の対クエンティン戦においては、序盤はストラーフのリアユニット GAアーム、GAレッグを用いた陸戦特化装備であったが、戦闘中脚部機能が死んでしまったために脚部を丸ごと排除して本装備となった。その折もともとの素体装備は変更していないため、防御力重視の構成となっている。 軽快さを生かした格闘戦が得意であったが、性能的にどうしても中途半端にとどまってしまうくせがあり、メイン装備としてはほとんど使われていない。 機動戦闘装備 頭部:ヘッドセンサー・アネーロ 胸部:ホーリィアーマージャケット 背部:レインディアアームドユニット・タイプγ(基部) ハイパーエレクトロマグネティックランチャー×2 バインダー(リアウイングAAU7) ハグダンド・アーミーブレード ぷちマスィーン・シロにゃん 下腕部:M4ライトセイバー×2 脛部:ランディングギアAT3 FL012ガードシールド 推進器付主翼(リアウイングAAU7) 武装: アルヴォLP4ハンドガン カロッテP12 スティレット短距離空対空ミサイル×4(サイドボード供給により発射可能総数は60発以上) 登場時期:神姫たちの舞う空編 アーンヴァルの飛行特性を維持したまま、戦闘適応性を上げるために考案された構成。メインの推進力が背部ではなく、脚部に移行されているのが大きな特長。ヨーロッパの軍隊によく見られるデルタ翼戦闘機のようなシルエットとなっている。 超高速巡航装備と比べて推進力は低下したものの、全体的にコンパクトにまとまっている。そして主翼が360度回転可能で、マグネティックランチャーとバインダーが四つのスタビライザーの役目を果たし、デルタ翼でありながら「低速域における機動性と安定性が低い」という欠点をカバーできている。結果、戦闘機にはできない奇想天外なマニューバーが可能になっている。 なによりも、ホーリィアーマージャケットの小型スラスターやマグネティックランチャーの電磁浮遊推進システムなど、脚部以外のボディ全体に推進器を配することによって、多少の損傷でも戦闘が続行できる優秀なダメージコントロール性能を獲得できたことがこの装備の功績として大きい。 未知数の部分がまだまだ多いが、本編における今後の活躍が大いに期待できる装備構成である。 シエン ATパイロットスーツ装備 頭部:頭甲・咆皇 胸部:VLBNY1胸部アーマー 上腕部:VLBNY1腕部アーマー 下腕部:VLBNY1リストガード 腰部:KT36D1ドッグテイル 大腿部:VLBNY1脚部アーマー 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: 十手 カロッテP12 モデルPHCハンドガン・ウズルイフ 登場時期:「バトリングクラブ」、神姫たちの舞う空編 非公式の「ボトムズin武装神姫バトル」において、クリムゾンヘッドに搭乗する際シエンがまとう装備。ヴァッフェシリーズのアーマーは衝撃吸収に長けながらかさばらないため、パイロットスーツとして最適であった。 緊急時の武装として十手や拳銃をコクピットに持ち込んでいる。 ちなみにクリムゾンヘッドの主武装はベルトリンク式に改造し装弾数を増やした咆莱一式である。 クエンティン 瞬間移動装置活用装備 頭部:フロストゥ・グフロートゥ 黒ぶちメガネ 胸部:胸甲・万武(ぷちマスィーン・壱号搭乗) 上腕部:フロストゥ・クレイン 下腕部:FL013スパイクアーマー01 腰部:VLBNY1腰部ベルト 大腿部:FL013スパイクアーマー02 脛部:WFブーツ・タイプ・クレイグ 武装: サイズ・オブ・ザ・グリムリーパー ぷちマスィーン・肆号 ぷちマスィーン・オレにゃん 登場時期:「固執」、「信念」 瞬間移動装置とは厳密には装置ではなく、バーチャルバトルアクセスシステムの隙を利用した高速移動方法であり、あたかも瞬間移動しているように見えるためそう呼ばれる。また本装置によって空中移動も可能である。クエンティンのオーナーである理音が考案しセカンドバーチャルバトルにて使用していた。本装備はその瞬間移動を最大限活用するための構成である。 頭部、上腕部のフロストゥブレード、および下腕部、大腿部のスパイクアーマーは可動し、四肢とあわせて動かすことで限定的ではあるが瞬間移動後のアクロバット機動や体勢安定のためのバインダーとして働く。 主武装がサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーと二体のぷちマスィーンだけというやや心もとない内容だが、これは瞬間移動装置の構成上サイドボードに神姫本体を入れねばならないため、武装の容量が限られてしまうためである(開始時の武装を入れるメインボードは空であるが、アクセスポッドには神姫が入れられていないため、武装を入れてもシステム側から「装備不能」と判断されエラーが発生する。そのためメインボードは使用できない)。ただ、瞬間移動のアドバンテージが非常に大きいため、この武装だけで十分という見方もある。 その後どこからともなく(おそらくネットから)瞬間移動の方法が解析され数多くの神姫がこの方法を使用したが、ゲームバランス崩壊の兆しが見えたためにオフィシャル側によってバーチャルバトル空間アクセスルールが改正され、実質使用禁止となってしまった。 そのためクエンティンの本装備はおそらくもう見ることは無い。 先頭ページへ
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第4話 新しい家族 比較的早い時間に夕食を取ったので、小腹が空いた俺は買い物へと出かけた。 最近、俺が買い物とかで出かけると、アールがついてきたがるようになった。 今日も、アールが一緒だ。 丁度、俺の半歩くらい前の目の高さぐらいを、歩く速度に合わせて飛んでいる。 「なぁ、何がそんなに楽しいんだ?」 「マスターと出かけるのが楽しいんですよぉ~」 「食い物買いに行くだけだぞ?」 「それでもいいんです」 「そんなもんかねぇ」 「そんなもんです」 そんなやり取りをしていると、アールが空中で停止した。 「マスター! あれ!」 「ん?」 アールの指差す方を見ると黒い物体が落ちている。 「おい! あれって」 はっきりとは見えなかったが、その物体が何か直感的に分かった。 そして、その答えが間違いであってほしいと思いながら走る。 その場所に到着したが、残念なことに間違いではなかった。 「マスター……」 アールが泣きそうな顔で俺とその物を交互に見ている。 そこに落ちていたものとは、両腕、右足首、左膝から下の無い黒い人形。 特徴である長い髪も右側が引きちぎられ、身体中傷だらけになっていた。 間違いなく、ストラーフという武装神姫だった。 「……ん……あ」 ストラーフが呻き声を出した。 バッテリーがまだあり、AIが動作している。つまり、この子はまだ生きている。 俺はストラーフをやさしく手に持ち、アールのほうを向いた。 「今、何時だ!」 「9時43分です」 アールが即答する。あと17分。 「間に合ってくれよ!」 俺はアールを買ったおもちゃ屋へ走り出した。 俺は走った。当初の目的地のコンビニを通過し、なおも全速力で。 「マスター! あと13分」 横を俺と同じ速さで飛ぶアールが叫ぶ。 大通りの交差点で運悪く信号につかまった。 「はぁはぁはぁ、間に合いそうだな」 ここまで休みなしに走ってきた俺は電柱にもたれかかった。 「マスター、大丈夫ですか?」 「ああ…平気平気…」 そうアールに言ったが、正直バテバテだ。 (日頃の運動不足がひびいてるよなぁ。) そんなことを思っていると信号が変わりまた走り出す。 そして、目的地のおもちゃ屋が見えてきたが、手前の踏み切りが鳴り出した。 「くそぉ!」 俺は速度を上げ、降りてくる遮断機を睨む。 到着したとき、遮断機が完全に降りてしまった。 遮断機を掴み、くぐろうと屈む。 「マスター!! だめぇぇ!!!」 アールの悲鳴に似た絶叫が響き、俺は手を離した。 「マスター、無茶しないで……お願い」 飛んできてそのまま抱きついたアール。俺の服に顔をうずめて見せないようにしていたが確かに泣いていた。 「わかったよ…」 遮断機が上がるまで俺はアールの頭を撫で続けた。 それからはアールを落ち着かせながら、歩いて向かっていった。 店に到着したのは、9時55分。間に合った。 俺はカウンターの方へ行き、ストラーフを置いた。 昔の町工場の頑固職人のような店主がそこに居た。 「こいつを助けてやってくれ」 店主はストラーフの姿を見て驚いた様子だ。 「いったい何をした」 「何って? 俺のじゃない、拾ったんだ」 「拾った?」 「ああ。とにかく、こいつのAIは生きてるんだ。なんとかしてくれ」 「ん~、そういってもなぁ」 店主はストラーフを調べるように見ている。 それから店主はしばらく考えて俺のほうを見た。 「まあ、やるだけのことはやってやる。連絡先をここに」 そういって書類を差し出す。俺は記入を済ませてもう一度たのむと頭を下げた。 俺は、帰り道でいろいろと考えていた。 「俺は正しいことをしたんだろうか……」 「……正しいですよ」 俺の独り言がきこえたのだろう。アールが俺の頭の後ろからやさしく抱きしめてきた。 「………やさしいですもん……そんなマスターが………大好きです……」 「ん? 何か言ったか?」 しっかりと聞こえていたが、何か恥ずかしくなってそう言ってみた。 「い、いえ! べつに何も」 アールは慌てて俺の頭から離れた。 数日後、連絡がありおもちゃ屋まで出かけた。 「ほれ、これだ」 そう言って店主が取り出したものは、神姫の収められたケース。 「これって?」 「知り合いに破損した神姫を直す達人が居て、みせみたがたんだが、あのボディ破損がひどくて修理は出来ないといわれた」 「じゃぁ……」 (助けられなかったのか) がっくりと肩を落とす。 「勘違いするな、AIから取り出した情報はこっちに移してある」 「え?」 「ボディは新品だが、記憶は受け継いでいる」 「そうか、よかった……」 ほっとして、緊張がとける。 「お前さんの真剣な顔をみて、幸せに出来るだろうと思ってな。お前さんのことを説明したら、何も言わずデータ移植をしてくれた、といわけさ」 「ありがとう」 俺は深々と頭を下げた。 「それで、これも持っていけ」 ストラーフの武装セットを神姫ケースの横に置く店主。 店主は素体分の料金でいいといったが、俺は武装を含めた正式料金を置いて店を出ようとしたら、店主が呼び止めた。 「忘れものだ、持って帰れ」 そういって何かを投げてよこした。 俺はそれを掴み、見てみると、壊れたあのストラーフだった。 帰り道で考えていた。 こいつがあの日、あそこに居た理由を。 一人で出歩いて事故にあった、どこからか盗まれて部品を取られた…… いくつもの仮説を立てたが、もう一人の俺が即座に否定する。 そして、もう一人の俺が囁きかけてくる。 (ひとつだけ納得のいく説があるだろう) 俺は、それだけは考えないようにしていた。しかし、何度考えても最後にはそこへたどり着く。 『愛すべき主人に捨てられた』 そうだとしたら、こいつが起動後最初に感じるのは、捨てられた時の思い出。 その時の記憶が甦り、どうなるのか分からない。そして、それを見たアールはどう思うのだろう。 俺の頭に、笑顔のアール、怒りながらも照れているアール、泣き笑いのアール… アールの顔が浮かんでは消えていった。しかもほとんどが笑っていた。 「……アール」 俺は、家で、アールの前でこいつの起動は出来ないと思い、近くの公園へと向かった。 公園のベンチに神姫ケースを開ける。そしてストラーフを取り出し、ベンチの上に寝かせる。 「さて、どうなるか」 しばらくすると、ストラーフがゆっくり目をあける。焦点の合っていないぼんやりした顔から序々に覚醒していく。 「いやぁぁぁ!! ごめんなさい! ごめんなさい! ゆるしてください!」 覚醒するとストラーフはうずくまり、絶叫した。 (やはり……) そう思った俺は、やさしくストラーフを手で包み、持ち上げた。 「ごめんなさい! ごめんなさい!」 それでも、ストラーフは叫び暴れる。 「大丈夫だ! もう心配ない!」 ストラーフの叫び声に負けないくらいの大声でストラーフに言い聞かせた。 「……あ」 俺の声が主人と違うと分かったのだろうか、ストラーフは落ち着いたようだ。 「さて、少し話を聞かせてくれるといいんだが、大丈夫か?」 ストラーフはコクンとうなずいた。 「言いにくいかもしれないが、自分がどうなったか覚えてるか?」 「あたいは……捨てられた」 「そうか……理由は?」 「バトルの成績が良くなくて、性能の悪いのはいらないって」 「そうか……」 しばらくストラーフの話を聞いて分かったことは、前の主人は神姫バトルを徹底して研究していたこと。 たとえ勝ったとしても、それが当然で言葉をかけてもらったことが無いこと。 そして、神姫を道具としか見ていないこと。 俺は、無性に腹が立ったがなんとか怒りを静めた。 「いいか、昔の辛いことは忘れろ。今からこの俺がお前の主人だ」 「え?」 ストラーフがびっくりしたようにこっちを見た。 「もうバトルとか、そういうことは考えなくていいってこと」 ストラーフにニッコリと笑う俺。 「家にも、バトルが嫌いでダンス好きなのが居るからさ。紹介するよ」 そういって、ストラーフを持ち上げ家へ向かった。 家に着くまでに、ストラーフには昔のことをアールに話さないでくれと頼んでおいた。 「おかえりなさい」 家に着くとアールが出迎える。 「ただいま。えっと、この子がアール。君のお姉さんだ」 「……お姉さん」 「そう、同じ店で買ったんだ。本当の意味での姉妹ではないが、姉妹といってもいいだろう」 ストラーフを降ろすと、アールが抱きついた。 「よろしくね。マスター、この子の名前はなんですか?」 「ああ、そういやそうだな。名前を教えてくれるか?」 「名前?」 ストラーフはアールと俺を交互に見る。 「前の主人はつけてなかったのか?」 どういう主人か知っていたが聞いてみた。たぶん名前などつけていないだろう。 「はい……」 ストラーフは俯いてしまった。 「マスター」 アールも心配そうに俺を見る。 「んじゃ、せっかくだし、アールの時のように自分でつけてもらおうか」 「そうですね」 二人してストラーフのほうを見る。 「えっと……その……あたいの名前は……」 ん?と身を乗り出すアールと俺。 「アール姉さんの妹だから……アールの対になる文字……エル、あたいの名前はエル」 「そうか、エルか」 「よろしく~エルちゃん」 こうして、俺の家族が一人増えた。 「はい、こう、ワン、トゥー、スリー」 「えっと、ととと、あっ」 机の上では、アールがエルにダンスのレッスン中だ。 エルが家に来て、しばらくたった。 家に来たてのころは沈んだ表情をしがちだったエルも、いまでは明るくなりアールと一緒に踊るようになった。 俺は、そんな光景を微笑ましく思いながら、なにげなしにTVのチャンネルを変えた。 その時は、俺もアールもエルもまだ気づいていない。運命のスイッチを押したことを。 なにげない普段のニュースがしばらく流れていたかと思うと話題が変わり、中継現場の映像に切り替わる。 『はい! 私は今、大人気の”武装神姫”そのバトル大会の会場に来ています』 どうやら、神姫の話題らしい。そういえば、大きな大会の予選だか何かがあったような気がする。 俺はそんなことを思いながら、ちらっとアールとエル二人の方をみた。二人とも背中をこちらに向けてダンス中だった。 二人にとって微妙な話題だから、嫌がる素振りをしたら変えるつもりだったがそのまま見続けた。 『さて、参加者にインタビューしてみましょう。こんにちわ! あなたの神姫、強そうですね』 『もちろんです。ありとあらゆる研究をしてパーツを組み込んだんですから』 レポーターに、どこから見ても金持ちのぼっちゃま風の男が答えた。 歳は俺より下っぽいなと、見ているとアールの悲鳴が響く。 「マスター! エルちゃんが!」 あわてて机に駆け寄ると、エルが膝立ちになり、両手で耳を塞ぐようにしてガクガク振るえていた。 「どうした?! エル!」 「あ……ああ……」 俺はエルを抱き上げて優しく撫でてやる。 「マスター…」 「大丈夫か?」 「マスター、ごめんなさい」 エルが俺の手の中で謝る。 TVには以前としてあの男と神姫の映像が映し出されている。 「マスター……」 アールが俺を見ている。アールには、エルが落ちてた理由を、俺からなるべくやわらかく伝えてあった。 アールはピンときたんだろう。俺も多分同じ結果を導き出して、エルを降ろす。 「エル……あいつがそうなのか?」 「はい、あたいの前のマスターです……」 そう答えたエルにアールが抱きついてやさしく撫でている。 実際に見て、エルから前の主人の話を聞いたときの感情がふつふつと湧きあがってきた。 「なぁ、エル。お前の力であいつ、ぶっ倒してみないか?」 「え? あたいが?」 「そうだ」 「でも、あたいじゃ…」 俺はエルの頭を撫でる。 「大丈夫。こっちは俺もアールも居る。三人でがんばろうぜ」 「うん! 私はバトルってあんまり好きじゃないけど、エルちゃんの為なら協力するから」 「マスター……姉さん…あたいがんばってみるよ」 「そうだ、その意気だ。あいつに、エルを捨てたこと後悔させてやろうぜ!」 「オー!」 アールが元気よく腕を上げて叫ぶ。 「ほら、エルちゃんも」 「オー」 アールに言われてエルも腕を上げて叫んだ。 「ただいま~。お~い買ってきたぞ~」 「おかえりなさいマスター」 「おかえり~マスター」 玄関まで出迎えた二人を抱き上げる。 「これがそう?」 エルが俺の足元に置かれた箱を見る。 「中古品だけどな」 ヴァーチャルバトルのインターフェイスを買いにいったのだが、新品は想像以上に高かったので型落ちの中古を買った。 「よし、それじゃあ早速使ってみるか。アールはサポートたのむ」 「はい」 自室に持ち込んでパソコンに接続した。 「よし。じゃあエルの武装するか」 「お願いします」 武装し終わるとエルの様子が変だ。 呼んでも返事しないし、動かない。 「エル?」 かるくつついてみると、やっと反応があった。 「よぉぉし! バトルだぜぇ!」 「え? エル?」 「おうよ! おもいっきりいくからたのむぜ!」 性格かわってるよなとか思いながらもインターフェイスに接続した。 それからが大変だった。 「突っ込みすぎた! 距離をとって!」 「マスター、右足負傷しました」 「直線でかわすと相手に読まれる」 「射撃は正確に、煙で相手を見失う!」 「右サブアーム可動不能になりました」 アールが現状を分析しながら俺が指示を出しているが、かなり苦戦していた。 ボロボロになりながらも、どうにか相手を倒して接続を切った。 「いやぁ、失敗失敗。ひさしぶりだから熱くなりすぎたぜ。はははっ」 ヴァーチャルバトルから戻ったエルはそう言いながらも、勝てたことに喜びを感じているようだ。 武装をはずすと、エルの性格が戻る。 「マスター、ごめんなさい。あたい、うまく戦えなかった……」 「いや、それはいいけどさ。性格かわってたよな」 「うまく言えないけど、武装をつけると、変なんだ」 「変?」 「うん、なんか戦うぞ~って感じになってああなるみたい」 「そっか、まぁなれればいいと思うよ」 「うん、あたいがんばるよ」 それから、猛特訓が始まった。俺の居ない昼間はアールとダンス練習、アールが操作するヴァーチャルバトル特訓。 ダンス練習は、アールがいままでも教えていて続けた方がいいといったからだ。 俺が帰ると、俺が指示を出してヴァーチャルバトルという生活を繰り返していた。 さらに幾日か過ぎた。 エルのヴァーチャルバトルもレベルもどんどん上がっていき、複数の敵とも対等に戦えるようになっていていた。 俺は、夜食を買いにコンビニへと向かっていた。アールも一緒だ。 エルは、昼間の特訓が激しくて、AIを休めるためにスリープモードに入っている。 「アールごめんな、しばらくかまってやれなくて」 「ううん、いいんです。私もエルちゃんにダンス教えるの楽しいですし」 歩きながらそんな話をしていたが、アールの顔はやはり寂しげだった。 「アール」 俺は立ち止まり、アールのほうを向く。 「はい?」 アールもこっちを向く。 「こんなことで埋め合わせっていうのも、何なんだけどさ……」 俺はアールをやさしく掴む。 「じっとしてて」 「はい……」 アールのヘッドギアを外すと、アールと初めてのキスをした。 そして、二人して顔を赤らめて、買い物をして家へ帰っていった 戻る 次へ
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前へ 先頭ページへ 朝。 朝が来た。 マスター風に言うならば清々しい朝。もしくは、爽やかな朝。 とにかく、私は内蔵された自動起動機能によって目を覚ました。 起きたからにはやる事がある。 ベッドであるクレイドルから上体を起こしての状況確認。 玄関―――朝刊が届いているのを確認、鍵もチェーンもかかったまま。異常無し 窓―――カーテンの隙間から天気を確認。予報通り快晴。鍵も閉まっている。異常無し。 ちゃぶ台―――マスターの財布を確認。休止前との異常は検出されず。異常無し。 ベッド―――マスターが眠っている、今のところ異常無し。 時刻―――現時刻、午前7時30分。講義開始が午前9時30分。マスターの行動予想。このまま起こさない場合の起床時間、9時。 行動、開始。 私はぴょいん、とクレイドルから飛び降りる。クレイドルはマスターのベッドの枕元に置いてあり、飛び降りた先はマスターの顔の直ぐそばだ。 何時もは気難しげな表情をしているが、この時だけはいつも穏やかだ。まるで死んでるみたい。 ……心なしかマスターに睨まれた気がする。次は潰されそうだから本来の仕事に移るとしよう。 ベッドの隅に立てかけられた30cmの鋼尺、それを両手で抱えるように持つ。 人間からしたらそれ程でもない重量だろうが、神姫である私からしたら結構な重量を感じるそれを、肩に担ぐように構える。 そして、腰を軸に上体を回転させる。 「―――ッ!」 ばこん、という音と共にマスターが飛び起きた。 頭を押さえて涙目でこちらを見ている。 その視線を受けながら、私はこう言うのだ。 「おはようございます、マスター。今日も良い天気ですよ」 それが私の日課。 武装神姫、ナルの一日の始まりなのだ。 今日も今日とて大学へ向かうマスター。 そしてマスターの胸ポケットの中に納まる私。 マスターが一歩歩くごとに身体が数cm程上下する。 これが人間換算だった場合、人は酷く酔ってしまうと聞いた事がある。 全てを人間に準じて作られた私がそうならないのは機械的に制御が成されているからか、それとも個体差なのだろうか。 そんな事を考えていると、空が翳った。 「……ハトか。珍しい」 マスターが呟いた。 人には聞こえそうもない小さな呟き。しかし、私の耳はそれを捉えた。 それは私の聴覚が人間よりも優れているという点もあるが、マスターの身体から声の震動が伝わったというのもある。 「このご時世、こんなところで鳩を見れるとは思いませんでした」 私は率直な感想を言った。 私に内蔵されている基本データの鳩に関する項には2036年現在、鳩の生息数が激減しており、絶滅危惧種一歩手前であると記されている。 そして、日本で野生の鳩が生息しているのは浅草だけだとも記されている。 ここは浅草から少し距離がある。飼われた鳩にしろ野生にしろ、少々貴重な体験だと言えた。 「餓鬼の頃はそこそこ見かけたんだがなぁ」 そう言うと、マスターは空を仰いだ。 その表情を窺い知ることは出来ないが、きっと私の知らない遠くを見ているのだろう。 私がマスターと出会ってもう5年になる。 この5年間、色々な事があった。 だけど、まだ私はマスターの全てを知っている訳ではない。 マスターが見たもの、マスターが感じたもの、マスターが知ったもの。 私が知らない、マスターの要素。 マスターという人間を構成するピース。 それを、私も共有する事が出来るのだろうか。 「……暇があったら実家にハト探しに行くか」 さっきよりも小さな声、だけど、はっきりとした声でマスターが言った。 その視線は真っ直ぐ前を向いている。 だけど、私にはその先にあるものがわかる気がした。 「楽しみです」 大学は、目と鼻の先だった。 今日の講義は一限から五眼までフルに入っている。 一限目は工業数学。マスターが最も苦手とする教科で、マスターは今にも死にそうな顔をしている。 私はというと、教室の机の上にぺたりと座り、周囲を伺っている。 この教室はそれほど広くは無く、人と人が接触しやすい。周囲を見れば3,4人のグループで固まってるのが殆どで、一人で難しそうな顔をしているマスターは少し浮いている。 元々人づき合いが良い方では無いので、大学内の友人は研究室の方くらいしか見た事が無い。 他愛無い雑談のざわめきの中、マスターは一人教科書を睨んでいる。 少しでも頭に入れておかないと刺されたときマズイそうだ。 暫くして、教授が現れた。その瞬間に水を打った様に静まり返る様は何時見ても面白い。 講義が始まった。 教授は説明を交えながら黒板にチョークを滑らせている。生徒はと言えば、黒板の例題や問題を写し、それを解く為に頭を絞っている。 無論、マスターもその一人だ。 シャーペンをくるくる回しながら、左手で頬杖をしている。その眼はノートに突き刺さっており、とても鋭く、険しい。 暫く微動だにしなかったマスターだが、目だけが動いた。 その先にいるのは、私だ。マスターの言わんとする事は手に取るように分かる。 確かに私は機械の類だ。計算は得意中の得意。朝飯前だ。 しかし、だ。 「マスター、こういうのは自力でやらねば意味がありませんよ?」 マスターは苦虫を噛み潰した様な表情をし、再びノートを睨んだ。 何事も経験ですよ、マスター。 講義を終えたマスターは随分と憔悴している様に見える。 覇気が無いというか、精気が無いというか。とにかく元気がない。 マスターの胸ポケットの中で揺られながら私はそう思った。 しかし、それも仕方ないのかもしれない。 その理由は次の講義がマスターの苦手科目No.2、文章演習だからだろう。 この講義、平たく言えば作文の講義なのだが、マスターは文字を書くとか本を読むとかそういう類の事が大の苦手なのだ。 レポートにおいてもそれは健在で、毎回必ず再提出の烙印を押されている。 そういう訳でマスターはこの講義が苦手という訳だ。 重々しい足取りで教室移動をするマスターは、さながら亡者だ。 瞬間、身体に衝撃が走った。突然の事だが、頭は冷静に動いている。 とりあえず、私の身体は空中にある。身体は一回転していて、頭から真っ逆様に落ちる格好だ。 とりあえず状況を確認すると、マスターが尻餅をついていて、その上に人が覆いかぶさっている。 マスターは後頭部を押さえていて、覆いかぶさってる人間はぐったりとしているのが上下逆さまに見える。 「…わわっ、大丈夫ですか~!」 何ともマヌケな声が聞こえてきた。 その声の主はマスターに覆いかぶっている人間だ。 「いいから、どいてくれ」 マスターが不機嫌そうに言った。それを聞いたその人はあたふたしながらやたら危なっかしくマスターの上からどいた。 それは女の人だった。 そして、床と私の距離はもう無い。ぶつかる。 何時もなら直ぐに体制を立て直す事が出来るのに、反応が遅れた。どうしよう、とか思ってたら、 「……ゎっ」 思わず変な声が出た。それは身体に慣性の力が働いた事による反作用だ。 視界は未だ上下逆転したままだ。前髪が床についている 足首を見ると、誰かに掴まれている。 白い手、白い腕、白い身体、白い髪。 「……ストラーフ?」 思わず疑問が口に出た。だって、そこにいたのは白い神姫。 白い神姫と言えばアーンヴァルな訳だけど、その顔はどう見たって私と同じ顔。ストラーフなのだから。 しかし、このストラーフ無表情である。目が合っているのにあちらさんは瞬き一つしないで私をじっと見ているのだ。 なんて事考えていたら、彼女は唐突に私の足首から手を放した。 手を付いて一瞬逆立ちの体勢、今度は身体全体を使ってくるっと周る。よし、上下正常な世界だ。 私は改めてストラーフを見た。私は量産機なので私と同じ顔を見るのは少なくない。その中には様々なカラーバリエーションのストラーフがいたが、ここまでまっ白いストラーフは初めて見た。 「わ、私ぼー、としてて、その、あの……」 頭上からマヌケな声が降ってくる。その声の主はマスターに対し平謝りだ。 「……今度から気を付けてくれ」 マスターはバツが悪そうに言うと、私を拾い上げた。 「大丈夫か?」 「あのストラーフのお陰で」 私はマスターの手の中、視線をあのストラーフへと向けた。 そのストラーフはマヌケな女の人に抱きかかえられている。 マスターの逡巡する気配が漂った。 「……名前を聞いても良いかな?」 その視線はマヌケな女に人に向けられている。 当の本人は、一瞬ポカーンとした後、金魚みたいに口をパクパクさせている。 かと思えば大きく深呼吸をし始めた。3度深呼吸をした彼女はようやく口を開いた。 「えと、その、わた……私、環境心理学科の、君島、です」 まるで息も絶え絶え、死にそうな様子で君島さんとやらは言った。 「それで、この子は、アリスって、言います」 そういって胸に抱える白いストラーフ、アリスを一瞥した。 しかし、このアリスとやら、マスターである君島さんと違い本当に無表情だ。 「僕は倉内 恵太郎。君島さんと同じ環境心理科です」 マスター自慢の猫被りが発動した。さっきまでの不機嫌ぷりは何処へやら、今は完璧な爽やか系好青年だ。 「この子はナル」 「どうも」 私は軽く会釈した。 「アリスちゃん、僕のナルを助けてくれてありがとう」 マスターの言葉を無表情で受け止めるアリス。それに対して君島さんはやたらおどおどしている。ここまで来ると面白い。 「……いい」 アリスがようやく口を開いた。にしても驚くほど無機質な反応だ。……CSC入ってないんじゃないだろうか。 その時である、場違いな声が響いたのは。 「おはよう! けーくん!」 どっから顕れたのか、孝也さんがマスター目掛けて飛び付いてきた。 「おはよう……っと!」 そしてマスターは孝也さんの顔面に右フックを叩き込んだ。 孝也さんは派手な音と「ぐべぇ」みたいな呻き声を上げてゴミ箱に突っ込んじゃった。 「ふぇ?…え? え?」 案の定、君島さんが目を白黒させている。 「ああ、いつもの事ですよ」 マスターは相も変わらず爽やかを装っている。 「そう、僕とけーくんのスキンシップは何時でも過激なんだ……」 何時の間にやら孝也さんがマスターの傍らに寄り添っている。相変わらず復活が早い。 「そ、そう、なんですか」 駄目だ、完全に怯えている。 「マスター」 「……じゃあ、次の講義がありますんで僕はこれで」 私の言わんとする事が伝わったようだ。 マスターは孝也さんの首を鷲掴むと、笑顔で歩き始めた。 「ところでけーくん、今の人は? ……けーくん、首が痛いよ~。……けーくん、絞まってる! 何か凄い締まってるよ!? 何! 僕が何かした!? 嫌だ! 離して! 話せば解る!……アーーーッ!」 残された君島は暫し茫然としていた。 まるで嵐のような出来事に頭の処理が着いて行っていないのだ。 「……ましろ」 「ふゃいっ!?」 普段は全くの無口&無表情なアリスが君島を、君島ましろの名を呼んだ。 その事に君島は飛び上るほど驚いた。自分の神姫なのに。 「……紅」 一言。言葉ではなく単語。 アリスのその短い説明でも、君島はすぐに理解出来た。 「あ、あの人が、そう、なの?」 口調は変わらない。しかし、その目の鋭さは先ほどまでの少女とは到底思えない鋭さだ。 その鋭い視線を恵太郎が去って行った方向へと投げかける。 見えない何かを見るように、見えない何かを値踏みするように。 「じ、じゃあ、やっつけなきゃ、あの人」 まるで近くのコンビニに買い物に行くような気軽さ。 反して、命を賭けた血戦に赴くような切迫さ。 奇妙で歪んだその少女の名は君島ましろ。 ましろを知る人間は彼女をこう呼ぶ。 白の女王、と。 先頭ページへ 次へ